有機スズ化合物と PCBs食物連鎖による蓄積機構の比較

タイトル 有機スズ化合物と PCBs食物連鎖による蓄積機構の比較
担当機関 中央水産研究所
研究期間 1997~1997
研究担当者 山田 久
小山次朗
池田久美子
発行年度 1997
要約 底生生物及び魚類の飼育実験並びに食物連鎖の構造解析と生物中残留濃度との関係を解析し、底泥堆積有機スズ化合物(TBT及びTPT)の蓄積特性をPCBsと比較した。PCBs及びTPTは食物連鎖を経由して濃縮されるのに対し、経口濃縮度の小さいTBTは濃縮されなく、有機物質の化学的な特性の差異により食物連鎖における挙動の異なることが明らかになった。
背景・ねらい 疎水性有害化学物質は底泥に堆積しやすく、底質が二次的な汚染源になることは有機スズ化合物やPCBsにおいても例外ではない 。底質に堆積した有害物質の高次栄養段階魚類への食物連鎖を経由した移行・濃縮が危惧されている。従って、水産生物の食品としての安全性確保のために底質の保全基準の策定は緊急な課題となっている。一方、有害化学物質の魚介類中残留濃度は、水中に溶存する物質の直接的な蓄積、すなわち、生物濃縮係数を用いて推定されるが、予測精度向上のためには食物連鎖を通した経口的な蓄積機構を解明する必要がある。そこで、本研究では、生物飼育実験と現場調査により有機スズ化合物(TBT及びTPT)とPCBsの蓄積機構とそれらの差異を検討した。
成果の内容・特徴
  1. イソゴカイは底質中TBT、TPT及びPCBsを蓄積し、濃度係数は、それぞれ、1.1~3.0、1.3~16.7及び6.8~13.4 であった。また、マダイによる飼料中有害化学物質の経口濃縮係数は、TBTで0.26~0.38、TPTで0.57、PCBs0.73~1.80であった(表1)。
  2. マダイによるTBT、TPT及びPCBsの排泄速度定数は、それぞれ、0.036、0.020及び0.010~0.024day-1であり、マダイによるTBT及びPCBsの代謝・排泄はTBTに比較して遅いことが明らかであった(表1)。
  3. 食物連鎖における栄養段階を残留濃度との関係を検討した調査結果(図1)では、生物中TBT、TPT及びPCBs濃度は底質中濃度に比較して高かった。TBT濃度は、多毛類、エビ類及びシロギスではマダラやヒラメに比較して高いが、栄養段階に依存して濃度が高くなる傾向ではなかった。一方、TPTは多毛類-ハタタテヌメリ-ヒラメや多毛類-シロギスあるいはアカハゼ等食物連鎖の栄養段階に依存してその濃度が高くなり、PCBsと同様な傾向が認められた。
  4. 栄養段階が高くなるに従って濃度が高くなるTPT及びTPCBsは、魚類による代謝・排泄が弱く、経口濃縮係数の大きな物質である。すなわち、経口的に容易に取り込むが、排泄されないために食物連鎖を経由して餌から有害化学物質を蓄積することが明らかになった。
  5. これらの結果は、有害化学物質の経口的な濃縮係数と排泄速度から、有害化学物質の食物連鎖における蓄積・濃縮の傾向を予測できることを示唆する。
成果の活用面・留意点 食物連鎖モデルの構築と予測に関する研究へと発展が期待され、本研究で得られた成果はモデルのパラメーターあるいはモデル検証用のデータとして活用される。
図表1 229061-1.gif
図表2 229061-2.gif
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