魚群サイズ分布と資源密度の関係

タイトル 魚群サイズ分布と資源密度の関係
担当機関 [推進会議]
研究期間 1998~1999
研究担当者 丹羽洋智
発行年度 1998
要約 資源密度が半分に減少した場合、魚群の数が半分になるのか、それとも魚群の大きさが半分になるのか?これは、資源量を推定したり、CPEUの意味や資源に対する漁業の影響を考える上で重要な問題である。この問いに答えるために、魚群の合併・分裂過程を数理モデル化し、索餌海域の来遊資源密度と魚群数、群れの平均サイズあるいはサイズ分布(サイズ毎の観察頻度)の関係を解析した。
背景・ねらい 群れサイズの分布パターンは、観測する海域、年、あるいは、季節によらず、安定したものである。一方、その平均サイズや標準偏差は大きく変動することが観察されている(図a)。この原因の1つは、索餌海域に来遊してきた資源密度の違いにある。したがって、群れで回遊する魚種の資源量を性格に推定するためには、資源密度と魚群サイズ分布の定量的関係を明らかにする必要がある。魚群サイズ分布のモデルとして、Anderson(1981)やBoabeau & Dagorn(1995)があるが、それらは資源密度に対応するパラメーターを持たない。本研究では、魚群の合併・分裂過程をモデル化し、資源密度に対応するパラメーターを含んだ魚群サイズ分布の理論を開発した。この理論に基づき、いくつかの魚種の群れサイズ分布に関する観測データを理論曲線にあてはめ、資源密度が変化した場合の魚群サイズ分布や平均サイズ、あるいは魚群数の変化について検討した。
成果の内容・特徴
  1. 群れの大きさの分布はカットオフのあるベキ分布で表されるような歪んだ分布である(図b)。
  2. 分布のベキ指数は来遊資源密度に依存し、資源密度の増大とともに1に近づく。
  3. 分布のカットオフ・サイズはほぼ資源密度に比例する(図c)。
  4. 群れの平均サイズおよび来遊魚群数は、資源密度の小さい場合、ともに資源密度の平方根にほぼ比例するが、資源密度の増大とともに、平均サイズは資源密度に比例して変化すのに対し、魚群数はある一定値に漸近する(図c、d)。
成果の活用面・留意点 魚群サイズ分布モデルによる結果は、魚群数のみに比例するような単純な指数では、資源量の変化を正確にとらえられないことを意味する。来遊資源量の正確な推定のためには、群れのサイズ分布(あるいは平均サイズ)と来遊魚群数の双方の情報が必要である。したがって、自律型魚群探査ロボット(AUV)などを利用した魚群サイズの詳細な計測が、正確な資源量推定のためには欠かせない。また資源密度の増大とともに分布のすそが長くなる(歪みが大きくなる)ため、平均サイズの推定精度は悪くなることが予想される。モデルから示された来遊資源密度と平均群れサイズおよび魚群数との関係は、さらに実際のデータで検証されることが望ましい。
図表1 229086-1.gif
カテゴリ ロボット

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