内湾・干潟域のイシガレイ成育場としての貢献度の評価

タイトル 内湾・干潟域のイシガレイ成育場としての貢献度の評価
担当機関 東北区水産研究所
研究期間 1996~1998
研究担当者 山下 洋
山田秀秋
発行年度 1998
要約 イシガレイの成育場は外海域と内湾・干潟域に大別される。稚魚の耳石のSr/Ca比は両成育場間で明瞭に異なった。漁獲加入した1・2歳魚の耳石の稚魚期に形成された部分のSr/Ca比から,約半数が干潟域を成育場としたと判定された。
背景・ねらい イシガレイ仔魚は水深15m以浅の浅海域に着底し成育場とする。仙台湾における本種の成育場は,沖合水の影響を強く受ける外海の砂浜域と水温,塩分の変化が著しい内湾・干潟域に大別される。それぞれの成育場がイシガレイ資源の生産にどの程度貢献しているかを明らかにするため,両成育場に分布する稚魚及び漁獲加入した大型魚について,環境特性の指標となる耳石中のストロンチウム/カルシウム比を分析した。
成果の内容・特徴
  1. 仙台湾の外海域と内湾・干潟域で採集されたイシガレイ稚魚(ふ化後4~5ヶ月)の耳石のSr/Ca比(Sr量/Ca量x1000)は,外海域では3.06~3.78,干潟域では3.81~4.66となり,明瞭に異なった(表1)。
  2. 飼育実験結果から,干潟域における厳しい環境変化などが,ストロンチウムの高い取り込みの原因となっていることが示唆された。
  3. 仙台湾の沖合で漁獲された1・2歳魚42個体の耳石のSr/Ca比は,発育段階に応じた変化を示し,変態・着底期に減少しその後の稚魚期に徐々に増大した(図1)。稚魚期のSr/Ca比には,すぐに上昇し始めるタイプと,しばらく低い状態が続く2通りが認められ,前者が干潟域を後者が外海域を成育場とした個体と判断された。1・2歳魚の稚魚期の耳石部分のSr/Ca比について3.8を基準に成育場を分けたところ,干潟域を成育場としたものが23個体、外海域を成育場としたものが19個体と判定された(図2)。
  4. 干潟域は環境は厳しいけれども,敵(捕食者)が少なく餌生物に恵まれており,干潟域の方が外海域よりも稚魚密度が高く,成長,生き残りのよいことをすでに明らかにしている(表2)。本研究から,干潟域の成育場は,面積的には外海域成育場の数%程度しかないが,そこでイシガレイ資源の約半分が生産されている可能性が示唆された。
成果の活用面・留意点 干潟域の魚類の成育場としての重要性を定量的に示した。
図表1 229103-1.gif
図表2 229103-2.gif
図表3 229103-3.gif
図表4 229103-4.gif
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