魚類マイクロサテライトマーカーの単離と分析方法の効率化

タイトル 魚類マイクロサテライトマーカーの単離と分析方法の効率化
担当機関 中央水産研究所
研究期間 1999~1999
研究担当者 吉田勝俊
発行年度 1999
要約 マイクロサテライトマーカーは核DNAに存在する多様性に富むDNAマーカーとして遺伝的多様性の把握に役立つことが期待されている。クロソイでマーカーを単離し効率的な分析条件を確率した。
背景・ねらい 近年,生物の多様性維持の重要性が認識され,人工種苗放流が天然集団の遺伝的多様性に与える影響を評価することが重要になってきた。生物の遺伝的多様性を評価するためには,遺伝形質の多型(変異)を指標として用いる。近年,核DNAの分析による遺伝形質の分析が可能となっており,我々はそのひとつであるマイクロサテライトDNAマーカーの研究を進めている。
成果の内容・特徴
  1. マイクロサテライトマーカーは核DNA中に存在する2~4塩基程度の長さの配列が複数回反復した構造の反復回数の個体差を多型の指標とするDNAマーカーである。分析はPCRによりDNAを増幅後,電気泳動により変異を鎖長として検出する。しかし,もっとも多く存在するとされるGT反復配列では,PCRプライマーセットによっては2塩基鎖長の異なる副生増幅産物ピークが電気泳動の際,強く現れ遺伝子型の決定を困難にすることがある。PCR条件を検討し伸長反応温度を通常より低くすることにより,副生増幅産物ピークを軽減することを可能にし,分析がより効率的になった。(図1)
  2. PCR増幅した断片の鎖長を決定する際に蛍光指標を利用すると,電気泳動の際1レーンで3サンプル行うことができる。さらに,3組のプライマーセットを混合し一回のPCRで3座のマーカーを増幅した後そのまま泳動することにより分析効率を格段に向上することが可能になる。クロソイで単離したマイクロサテライトマーカー増幅用PCRプライマーセットの中からこのような組合せを確立し効率的に分析を行うことが可能になった。(図2)
成果の活用面・留意点 「作り育てる漁業」では,人工的に生産した種苗を放流し,水産資源の安定した資産を目指している。人工種苗漂流が天然集団の遺伝的多様性に与える影響を評価することは重要であり,その評価指標としてマイクロサテライトDNAマーカーは有用な情報となりうる。また放流用種苗生産では親魚と稚魚の分析を行うことによって再生産に関与した個体の特定がマダイで既に試みられている。このような分析が広く行われることによって,遺伝的多様性の維持を図るより良い種苗生産方法の開発が可能になると考えられている。さらには天然集団の遺伝的多様性を詳しく把握することから各集団の生殖隔離,混合の有無をより詳しく知ることも期待される。そのためには組織的な研究の継続が必要となるであろう。
具体的データ
図1 PCR条件の改良による副生増幅産物ピークの軽減
図2 蛍光色素標識PCRプライマーによるマルチプレックスPCR解析
図表1 229132-1.gif
図表2 229132-2.gif
カテゴリ DNAマーカー

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