貝毒原因種Alexandrium catenella毒性および貝毒監視体制の再検討の必要性

タイトル 貝毒原因種Alexandrium catenella毒性および貝毒監視体制の再検討の必要性
担当機関 岩手県水産技術センター漁場保全部
研究期間 1998~1999
研究担当者 加賀新之助
関口勝司
発行年度 2000
要約 1997年11月、岩手県下で、これまで東北・北海道では貝の毒化にほとんど関与していなかったAlexandrium catenellaによるホタテガイの毒化が発生した。そこで、岩手県下で採集した本種23培養株の毒量を調べた結果、当地域の主たる原因種であるA.tamarenseの1/3-1/2に相当することが判明した。本種とA.tamarenseとは発生時期も異なっている。このことは本種の発生にも配慮した新たな貝毒監視体制を構築する必要があることを意味する。
背景・ねらい 麻ひ性貝毒による貝類の毒化現象が広域化し、公衆衛生上および水産業振興上大きな問題となっている。東北・北海道における本貝毒の原因種は渦鞭毛藻Alexandrium属であり、その中でも特にA. tamarenseが主役を演じている。同属のA. catenellaは西日本における貝類毒化の主役であるが、東北・北海道においては貝類の毒化に関与した事例は極めて少ない。ところが、1997年11月下旬に岩手県中部に位置する大槌湾においてホタテガイが毒化する事態が生起した。この原因追究を進めたところ、原因種はA.catenellaであることが判明し、本種は5cells/mL程度の細胞密度でホタテガイを18MU(可食部1g当たり)まで毒化させたことが確認された。今後、本種による貝類毒化の続発が懸念されることから、本種の生態や毒性についてデータを取得・解析しておき、今後の対策につなげる必要がある。今回、本種培養株の毒性について明らかにした。
成果の内容・特徴
  1. 岩手県沿岸の5湾より採取したA. catenellafs培養株(23株)にはすべて毒性が認められ、1細胞当たり毒量は19.5-65.9フェムトモル(fmol)であった。これは対象としたA. tamarenseの1/3-1/2に相当した。(表1)
  2. A. catenellaの毒成分組成は、弱毒成分であるC2が51.6-77.2mol%を占め最も多く、次に強毒成分であるネオサキシトキシン(neoSTX)が14.6-29.3%を占めていた。株間および採取場所間に顕著な差異は認められなかった。A. tamarenseとの比較では、C2が多く含まれる点で両者の組成は類似していたが、他の成分では違いも認められた。(表2)
成果の活用面・留意点 A. catenellaの毒量はA.tamarenseの1/3-1/2に相当することが明らかにされたことから、A. catenellaの毒化原因種としての位置は高いと言える。これまで、岩手県では春~夏に発生するA. tamarenseによる貝類毒化に焦点を当てた貝毒監視体制を構築してきたが、今後は夏~秋に発生するA. catenellaにも十分配慮した監視体制に見直す必要がある。
図表1 229189-1.gif
図表2 229189-2.gif
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