広島湾における窒素の収支

タイトル 広島湾における窒素の収支
担当機関 (独)水産総合研究センター 瀬戸内海区水産研究所
研究期間 2000~2002
研究担当者 樽谷賢治
辻野 睦
内田卓志
発行年度 2001
要約 広島湾における窒素の現存量は懸濁態窒素と溶存態窒素が大部分を占め、海藻・海草類の占める割合は1%以下であり、カキの占める割合は全体の5-12%であった。窒素の収支を検討した結果、陸域から負荷された窒素は大部分が海底へ堆積あるいは湾外へ流出し、広島湾から水産生物として水揚げされる量は陸域から流入する負荷の約5%であった。
背景・ねらい 持続的・安定的なカキの養殖を行いかつ良好な養殖環境を保つためには、対象海域の窒素等栄養物質の循環過程を明らかにし、適切な養殖密度や栄養物質濃度を把握することが重要である。本研究は、広島湾におけるカキの養殖管理に資するため、窒素負荷量とその動態を明らかにすることを目的とした。
成果の内容・特徴
  • 広島湾(図1)における窒素の循環経路について概略を整理し、海草や海藻、プランクトン、カキなど重要と考えられる生物群の調査を行い現存量を把握した。
  • 広島湾における海水中の窒素現存量は懸濁態、溶存態窒素が大部分を占め、海草・海藻類の占める割合は1%以下、カキは5-12%であった(図2)。
  • 天然カキの調査を行い現存量を見積もったが、軟体部重量で全体の3%程度に過ぎなかった。
  • 海水中の溶存態窒素および懸濁態窒素の現存量は平均4,029トンであり、このうち約6.5トン/日が湾外に流出すると見積もられた(図2)。
  • 陸域からの流入負荷は年間5,800トン程度であり、このうち海底に堆積したり湾外に流出するものが大きな部分を占めていた(図3)。
  • カキ等水産生物の収穫による窒素の除去は流入負荷の約5%であった。
成果の活用面・留意点 広島湾における窒素の収支の概略が明らかとなり、カキ養殖密度や水質等養殖場管理に資することが期待される。今後調査を重ねて現存量、生産量の精度を高めることが必要である。さらに流入負荷の変動によってカキ生産量や水質がどのように変動するか解析することが望まれる。
図表1 229209-1.gif
図表2 229209-2.gif
図表3 229209-3.gif
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