底層の食物網における有機スズ化合物の生物濃縮

タイトル 底層の食物網における有機スズ化合物の生物濃縮
担当機関 独立行政法人水産総合研究センター瀬戸内海区水産研究所
研究期間
研究担当者
発行年度 2003
背景・ねらい ねらい・目的:
船底塗料の殺生物剤としての有機スズ化合物(TBT、TPT)の使用は規制されたが、環境に放出されたものは海底に堆積していると想定される。そこで、日本海海底における海水、底泥及び生物中の有機スズ化合物を測定すると共に底層の食物網を調べ、これら化合物の生態系における動態を明らかにする。
成果の特徴:
  • 日本海沖合域における底泥のTBTおよびTPT濃度は、それぞれ4.4~16および3.9~7.4ng/g乾重であり、底層水中濃度の7,000~26,000倍であった。
  • 同海域で漁獲された魚介類中のTBTおよびTPT濃度は、それぞれ1.8~240および5.0~460ng/g乾重であった。胃内容物より解析した栄養段階(図1)との関係をみると、魚介類中TBT濃度と栄養段階との関係は明確でなく、TBTでは食物網を通した濃縮が認められなかったが、魚介類中TPT濃度は高次の栄養段階に位置する種ほど高く、TPTは食物網を通して濃縮されることが明らかとなった(図2)。この差は、水生生物における蓄積・排泄機構がTBTとTPTで異なるためであると考えられた。
  • TPTの底泥からベントス(栄養段階1の生物)への濃縮倍率は、ベントスからさらに上位の生物への濃縮倍率より大きかった(図3)ことから、食物網を通したTPTの再循環において底泥からベントスへの移行過程が重要であると考えられた。以上のように、沖合域底層では、底泥に堆積したTPTが主要な汚染源となり、底層の食物網を通して再循環することが明らかとなった。
成果の活用面・留意点 底泥に堆積した有機スズ化合物が主要な汚染源となることから、海水だけでなく底泥にも着目した有機スズ汚染対策の必要性が示された。また、食品の安全性を考慮した魚介類中有機スズ化合物濃度を許容濃度以下にするための底質基準策定に際して基礎的情報として役立つ。
図表1 229412-1.png
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