瀬戸内海東部海域におけるクルマエビの放流効果

タイトル 瀬戸内海東部海域におけるクルマエビの放流効果
担当機関 兵庫県立農林水産技術総合センター
研究期間
研究担当者
発行年度 2003
背景・ねらい ねらい・目的:
平成8年度に放流資源共同管理型栽培漁業推進調査事業としてクルマエビを対象とした放流効果調査が開始された。その後、平成13年度からの広域資源増大緊急モデル事業、平成15年度からのブランド水産物資源増大実証事業に引き継がれ、瀬戸内海東部海域におけるクルマエビの放流効果に関する知見が蓄積されつつある。ここでは、最も広範囲の海域から再捕報告が得られた平成10年放流群についての事例を紹介する。
平成10年7月、瀬戸内海東部海域6府県(大阪府、和歌山県、兵庫県、岡山県、香川県、徳島県)が共同で、長期間の追跡調査が可能な「尾肢切除法」によって標識したクルマエビ大型種苗(平均体長50.9mm)を播磨灘北部に位置する兵庫県赤穂市地先において約176,000尾放流し、その放流効果を推定した。
成果の特徴:
  • 平成10年7月の大量標識放流以降、平成11年12月までの18ヶ月間に行った市場調査および買上げ調査では調査尾数48,109尾のうち、標識クルマエビは163尾であった(混獲率0.34%)。また、漁業者からの再捕報告を含めると282尾の標識クルマエビが確認された。
  • 兵庫県赤穂地先(播磨灘北部)で放流したクルマエビは、大阪湾あるいは播磨灘南部を経由し、翌年以降、紀伊水道まで広範囲に移動する。
  • 天然海域に放流したクルマエビの成長は非常に速く、放流後2~3ヶ月で漁獲対象サイズ(体長120~170mm)となる。
  • 漁獲統計資料をもとに推定した調査期間中の播磨灘東部海域全体におけるクルマエビ総漁獲尾数に標識クルマエビの混獲率を乗じて再捕尾数を推定したところ、播磨灘北部を中心に4万尾近くが漁獲によって回収されたことが推定された(再捕率22.1%)。
以上の結果より、クルマエビは、放流した年内に漁獲対象サイズとなること、中間育成および放流手法の改良によって高い放流効果が期待できる有用な栽培漁業対象種であることが明らかになった。
成果の活用面・留意点 クルマエビが高い放流効果の期待できる栽培漁業対象種であることを実証した調査事例として、今後のクルマエビ放流事業の展開方向を示唆する重要な資料となる。具体的には、放流種苗のサイズ、放流方法および放流場所を検討することによって、効果的なクルマエビ種苗放流の方法を示すことが可能となった。
図表1 229422-1.png
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