1998年レジームシフトの植物プランクトンへの影響の把握

タイトル 1998年レジームシフトの植物プランクトンへの影響の把握
担当機関 独立行政法人水産総合研究センター北海道区水産研究所
研究期間 2002~2002
研究担当者 葛西広海
小埜恒夫
発行年度 2004
背景・ねらい 北太平洋では長期にわたる気候及び生物量の変動がレジームシフトと呼ばれる10年規模の周期で起こっていることが明らかになりつつある。当機関では1990年以来、親潮水域を中心とした定線Aライン(図1)での海洋観測を継続している。この観測で蓄積された海洋情報を用いて、1998年前後にみられた親潮水域の海洋環境の変化はレジームシフトによるものとする仮説の検証に植物プランクトンの変動から取り組んだ。
成果の内容・特徴 1990-1997年と1998-2003年の2つの時期に区分し、水温を指標として各時期における親潮水域のデータを抽出し解析を行った。月ごとのデータ数は100を超え、統計的に十分なデータ数を確保できた。
  1. 水温・塩分の変化
    1998年以降、夏季の表層水温が有意に高くなった(図2)。1998-2003年の表層水温は1990-1997年の平均値よりも5℃も高かった。一方、表層の塩分は1月から6月にかけて、1998-2003年の平均値は1990-1997年と比べて低く(図3)、これは1970年代以降の塩分低下現象によるものと思われる。
  2. 植物プランクトン現存量の変化
    1998-2003年の表層クロロフィルa濃度は、春季の植物プランクトンのブルーミング(大増殖現象)のみられる4-5月において1990-1997年よりも高かった(図4)。また、1990-1997年ではブルーミングの開始前であった3月においても、1998-2003年の平均値は高い値(約0.9mg/m3)を示し、1998年以降親潮水域での春季ブルーミングの発生時期の早期化と現存量の増加が起こった可能性が指摘された。
成果の活用面・留意点
  1. レジームシフトに伴う基礎生産の変動に関する知見は、餌料プランクトンの質的・量的な変動等に関する知見と合わせることにより、水産資源の変動予測手法の開発に貢献する。
  2. 親潮水域のレジームシフトを検証するためには、本解析結果に加えて他の海域及び観測データの解析結果とを統合して判断することが必要である。
  3. 長期間にわたる海洋観測データの解析は、レジームシフトを含めた広域での環境変動の検出に有効な手段であり、今後も質の高いモニタリングを継続する必要がある。
図表1 229516-1.png
図表2 229516-2.png
図表3 229516-3.png
図表4 229516-4.png
カテゴリ モニタリング

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