北海道東部陸棚域における直接測流による沿岸流の季節変化

タイトル 北海道東部陸棚域における直接測流による沿岸流の季節変化
担当機関 (独)水産総合研究センター 北海道区水産研究所
研究期間 2002~2005
研究担当者 日下 彰
川崎康寛
発行年度 2005
要約 北海道東部太平洋陸棚域において、海底設置型ADCPを用いて沿岸流の直接測流を行い、その季節特性を調べた。周年を通して海底地形に沿う南西~南南西向きの流れが卓越した。一方、その流速は春季から秋季にかけて、また秋季から冬季にかけて増加し、特に表層付近では、9月と1月に極大(約20cm/s)に達することが明らかとなり、当水域における流れの季節変化を把握することができた。
背景・ねらい 北海道東部太平洋陸棚域における沿岸流は、噴火湾湾口部付近で生まれ当海域へ摂餌回遊するスケトウダラ幼魚の分布・移動に大きく影響すると考えられる。しかしながら、当海域における流れの変動特性についての知見は極めて乏しく、これまでの研究は地衡流や水位差の変動から論じたものがほとんどである。本研究では、北海道太平洋陸棚域における沿岸流を直接測流することにより、その精度向上を図るとともに、スケトウダラ太平洋系群の動向に影響を及ぼすと考えられる流れの季節変化を解明することを目的とする。
成果の内容・特徴 2003年7月~2004年7月までの1年間、北海道厚岸尻羽岬沖の水深約80mに海底設置型ADCPを設置し(図1)、流向流速の観測を行った結果、以下の知見が得られた。
  1. 南西~西南西方向の流速は、特に表層付近で9月と1月に約20cm/sの極大がみられ、9月は表層から底層間で流速差は大きいが、1月は表層から底層まで一様な流れであった。最も遅いのは10月(5-7cm/s)だが、3月後半~4月にはオホーツク海からの流氷流出期にも関わらず、10月とほぼ同じレベルで流速が遅かった(図2)。
  2. 1月の流速のピークは海上を吹く北~北北東方向の風の強化によって生じたものと推察される(図3)。また9月の流速のピークは、陸棚沿岸域において宗谷暖流起源の高温高塩分水が当該海域へ流入したためと推察される(図4)。
成果の活用面・留意点
  1. 北海道東部陸棚沿岸域における沿岸流の季節特性は、スケトウダラ幼魚の分布・回遊機構を解明していく上で重要な鍵の1つであることが示唆された。
  2. 当該海域における沿岸流の平均的な流れの変動特性を把握するためには、さらなる長期間にわたるデータの蓄積が必要である。
図表1 229690-1.png
図表2 229690-2.png
図表3 229690-3.png
図表4 229690-4.png
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