閉鎖循環システムを利用した飼育技術の開発

タイトル 閉鎖循環システムを利用した飼育技術の開発
担当機関 独立行政法人水産総合研究センター
研究期間 2003~2005
研究担当者 山崎英樹
山本義久
発行年度 2004
背景・ねらい 陸上養殖では、汚濁負荷量の削減を目標として排水を出さない閉鎖系循環システムの開発が進められている。沿岸環境の保全は種苗生産分野においても取水海水の水質に関係する重要な課題であり、今後積極的に周辺海域への汚濁負荷量の削減に取り組む必要がある。また、閉鎖系循環システムを利用した種苗生産では、従来の流水飼育と比較して環境変動が少ないことから、初期減耗が問題とされている種苗の飼育にも適していると考えられ、疾病防除の側面からも当システムの必要性は今後高まるものと考えられる。
そこで、種苗生産に適した閉鎖系循環システムの技術開発を行うとともに、当システムを用いた飼育技術を開発する。
成果の内容・特徴 閉鎖系循環飼育システムは泡沫分離装置、多孔質セラミックをろ材とした生物ろ過装置、紫外線殺菌装置等からなり、それぞれの基本的な機能は、飼育水中の懸濁物の除去、アンモニア態窒素と亜硝酸態窒素の硝化、細菌数の低下を目的としている(図1)。
閉鎖系循環システムを用いた全長30mmサイズまでのマダイの種苗生産試験において新水をほとんど注水しない場合の適正循環率を検討した結果、循環率3回転と6回転では生残、成長に差はなかった(表1)。流水区は取水海水の水質が原因と考えられる大量死亡がみられたのに対して閉鎖系循環飼育では高い生残率が得られ、閉鎖系循環飼育の有効性が確認された(図2)。新水の添加量は0.8~0.9%/日と通常の循環ろ過飼育に比べ極めて少なかった。水質についてはアンモニア態窒素が両区とも1.5ppm以下、亜硝酸態窒素が0.5ppm以下と低水準で維持できた。
成果の活用面・留意点
  • 新水の注水をほとんど行わない閉鎖系循環システムを開発することにより、初期の環境変動を抑えることができるため、初期減耗が問題となっている魚種の飼育への応用の可能性が広がる。
  • 閉鎖系循環システム内の環境をコントロールすることができ、注水等による外部からの病原菌の侵入を防ぐ飼育手法として疾病防除技術開発にも応用できる。
  • 排水をほとんど出さないことから小規模の廃水処理システムで対処可能であり、環境への汚濁負荷量が軽微となる。
図表1 229573-1.png
図表2 229573-2.png
図表3 229573-3.png
図表4 229573-4.png
カテゴリ 病害虫 飼育技術 防除

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