近年の和歌山県沿岸におけるタチウオ卵の出現

タイトル 近年の和歌山県沿岸におけるタチウオ卵の出現
担当機関 和歌山県農林水産総合技術センター
研究期間 1990~2003
研究担当者 内海遼一
発行年度 2004
背景・ねらい 本県にとって最も重要な魚種の一つであるタチウオTrichiurus lepturusは、2000年以降漁獲量が大きく減少し、漁業経営を圧迫している。本種の資源動向を把握するためには、漁獲物からの情報によるところが多く、正確な把握には漁業から独立したデータが必要である。そこで、本種の1990年以降の魚卵・稚仔量調査(図1)で得られた卵の出現状況および漁獲量との関係を明らかにし、また近年の漁獲量急減について検討した。
成果の内容・特徴
  1. 卵の出現は、3-12月にみられ、平年では春季(5-6月)と秋季(9-10月)に出現のピークがあったが(図2)、春季の出現が少ない年(1990、1997、2000、2001および2002年)もあり、年によって大きな変動を示した(図3)。
  2. 卵の分布の中心は、春季には紀伊水道外域、夏季には紀伊水道内、秋季には南下し再び紀伊水道外域に移動するというパターンであった(図2)。
  3. 和歌山県の年間における卵の出現数と和歌山県および周辺府県のその年の漁獲量との間には正の相関があり(P0.05)、漁獲量が急激に減少した2000年以降は卵の出現数も同様に減少した(図3)。
  4. 近年の漁獲量減少は、2000、2001年の黒潮離岸傾向により春季に低水温化したために沿岸に産卵場が形成されず(図4)、漁場形成も悪かったこと、2002年以降は2000、2001年産まれ群の資源への補給が極めて少なかったことが要因の一つであると推察された。
成果の活用面・留意点 卵の出現状況から、親魚の移動・分布等を推測することができた。また海況が本種の産卵生態、さらには資源変動に大きな影響を与えることが示され、今後の資源管理を進めるにあたってはそのことを考慮し、取り組まなければならない。
近年の漁獲量急減の要因は、海況の影響が考えられたが、1980年代にも本種にとって好ましくない状況であるにもかかわらず、漁獲量の深刻な減少には至っていない。そういったことから、近年における漁獲量急減には乱獲等の他の要因も考えなければならない。
図表1 229642-1.png
図表2 229642-2.png
図表3 229642-3.png
図表4 229642-4.png
カテゴリ 経営管理

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