スポアバックによるアントクメ藻場造成手法の開発

タイトル スポアバックによるアントクメ藻場造成手法の開発
担当機関 東京都島しょ農林水産総合センター
研究期間 2001~2005
研究担当者 駒澤 一朗
発行年度 2005
背景・ねらい アントクメは伊豆諸島に分布する唯一のコンブ科の褐藻で、大規模な藻場を形成し、貝類の餌料や魚類等の幼稚仔の保育場として重要であるが、伊豆大島では平成10年頃からアントクメの藻場が激減し、サザエなど貝類の漁獲量にも影響を及ぼしている。そこで、伊豆大島でのアントクメの生活史を解明し、それを基に藻場回復手法の一つとしてスポアバックを用いた母藻投入を試み、その効果を把握した。
成果の内容・特徴 平成13年から14年にかけて天然のアントクメの生長、成熟の観察、遊走子放出試験、および培養試験により伊豆大島におけるアントクメの生活史を明らかにした(図1)。
平成14、15年は、遊走子放出時期(8月上旬~9月中旬)に目合3cmのとびうお刺網で作製した縦1m、横1mの袋に子嚢斑の形成されているアントクメ25株と浮体(発泡スチロール片)を入れたスポアバックを1地点あたり5袋ずつコンクリートブロック等で海底に固定し、伊豆大島の沿岸3地点に設置した。翌年の観察ではいずれも胞子体の着生が認められたが、着生数に差があり、その後、藻場の形成に至ったのは着生数の多かった比較的静穏な1地点のみであった。着生数に差がみられた原因は波浪によるスポアバックの早期流失にあると考えられた。
平成16年は8月下旬に、目合1.5cmのナイロン網地で作製した縦45cm、横32cmの小型化した袋にアントクメ3株と発泡スチロール片を入れたスポアバックを、外洋に面した投石漁場のテトラポットにロープで固定した(写真1)。ロープとスポアバックの間には捩れによる切断を防ぐため、撚り戻しを設置した。平成17年7月には、母藻投入地点に約2,000株のアントクメ胞子体が確認され(写真2)、スポアバックも全て残存していた。胞子体の着生範囲はスポアバック設置地点の周囲5m前後であった(図2)。また、8月には子嚢斑の形成が確認されたが、葉長はいずれも短く、魚類による食痕が認められた。
成果の活用面・留意点
  • 漁場造成事業などと連携して投入規模を拡大することにより、アントクメ藻場の回復が期待される。
  • 投入効果は海況などの物理環境に左右されやすいことから、より確実な手法として移植板等による人工種苗の移植も併用する必要がある。更に投入効果を高めるためには魚類による食害対策も必要である。
  • 大島以外での活用にあたっては、生活史の解明が前提となる。
図表1 229788-1.png
図表2 229788-2.png
図表3 229788-3.png
図表4 229788-4.png
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