カタクチイワシ北太平洋沿岸北上群は、牡鹿半島を越えるか?

タイトル カタクチイワシ北太平洋沿岸北上群は、牡鹿半島を越えるか?
担当機関 宮城県水産研究開発センター
研究期間 2003~2005
研究担当者 永島 宏
発行年度 2006
背景・ねらい
宮城県のカタクチイワシは、カツオ・マグロ一本釣りの活餌として、牡鹿半島~三陸沿岸の定置網漁業者にとっては重要な漁獲対象種である。本種の回遊群は、5月から7月にかけて本県沿岸を北上するが、年によってはこの北上期に牡鹿半島以北の定置網に全く入網しない場合がある。そこで、本種の北上期における分布状況と海況条件の関連について調べた。

成果の内容・特徴  2003年と2004年の5月から7月に、本県気仙沼市から石巻市にかけての主要な7カ所の定置網からカタクチイワシ標本を収集し、精密測定により定置網別の体長組成・肥満度指数CF・生殖腺指数KG・脊椎骨数・頭長比の平均値を求め、クラスター分析(ユークリッド距離、ウォード法による)を行ったところ、2003年の北上期には、仙台湾内の定置と牡鹿半島以北の定置でクラスターが分かれ、更に牡鹿半島以北の定置は沖合標本(北緯38°30’、東経143°10’で採集)と近い関係にあった。2004年の北上期には、仙台湾・牡鹿半島以北の定置標本間で、大きな相違は見られなかった。

 北上期の6月に本県沿岸海域で実施した科学計量魚探による魚群分布調査では、2003年は牡鹿半島を境に魚群高密度分布域が明瞭に分かれており、同時に観測した表面塩分、クロロフィル濃度分布からも牡鹿半島を境に水塊が異なることが推察され、特に牡鹿半島以北には沖合から波及したと思われる高塩分の水塊が分布していた。2004年は仙台湾口から牡鹿半島以北海域にかけて魚群の高密度分布域が連続しており、表面塩分・クロロフィル濃度分布も沖合域で連続していた。

 以上の生物特性・沿岸魚群分布・海洋構造の特徴から、宮城県海域のカタクチイワシ沿岸北上群は、海況条件により牡鹿半島を越える場合と越えない場合があり、越えない場合は沖合北上群が暖水ストリーマ等によって三陸沿岸に来遊する場合があることが推察された。

成果の活用面・留意点
従来あまり明確でなかった、宮城県沿岸域におけるカタクチイワシ北上群の分布生態・資源構造が明らかになり、水産資源の評価・漁海況情報の質向上が図られる。


図表1 229843-1.pdf
カテゴリ くり

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