タイトル | 電子レンジを利用したブリ属魚類筋肉中のアニサキス幼虫の検出法 |
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担当機関 | 香川県水産試験場増養殖研究部門魚病研究室 |
研究期間 | 2005~2005 |
研究担当者 |
赤井紀子 長野泰三 |
発行年度 | 2006 |
背景・ねらい | 2004年秋以降に中国から養殖用中間種苗として導入されたカンパチにアニサキスAnisakis sp.幼虫の寄生群が混在していることが確認された。寄生部位は主に内臓であったが,筋肉での寄生例が報告されたことから,これらの導入群について一律に,生食用としての出荷が不可能となり,養殖経営に極めて大きな影響が懸念された。そこで筋肉中のアニサキス幼虫の有無を迅速かつ高精度に検査し,幼虫がいないことを確認した上で生食用として出荷するための手法の開発を検討した。 |
成果の内容・特徴 | 魚介類筋肉のアニサキス幼虫検査法には,食品衛生検査指針に示されているガラス板を用いた圧平法,人工消化液等による検出分離法がある。米国FDAではフードプロセッサーによる筋肉の破砕(フードプロセッサー法)と紫外線照射による破砕懸濁物の観察を組み合わせた検査法が採用されているが,生の筋肉を水と共にフードプロセッサーで破砕するため,懸濁液の濁りが激しく懸濁物を観察前に洗浄する工程が必要となる。これらの方法は作業効率が悪く,高精度に大量処理するには不向きである。 そこで,フードプロセッサーによる破砕に代わる方法として,電子レンジによる短時間加熱処理後に手指で筋肉をほぐす方法を検討した。本手法では,筋肉中の虫体を損傷させることなく(Fig.1)迅速に筋肉をほぐせる(Table1.)。破砕懸濁物の観察の際にも水の濁りが少ない上,加熱したアニサキス幼虫は加熱前に比べて紫外線照射時の蛍光発色が強くなる(Fig.2)ことから,容易に虫体の観察が可能である。なお,比較のために行なったフードプロセッサー法では,十分に破砕できなかった。 本法は従来の検出法に比べ,検査処理効率が大幅に向上する。 |
成果の活用面・留意点 | 活用に際しては「鮮魚のアニサキス幼虫検査マニュアル」を参照下さい。 なお,「カンパチなど養殖魚に寄生したアニサキス幼虫とその検査法について. 川中ら,食品衛生研究,56(6),23-34,2006」にマニュアルおよびマニュアル作成の経過が詳しく記載されているので,合わせて参照下さい。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
カテゴリ | 経営管理 出荷調整 |