小見川に生息するイバラトミヨ雄物型の生態

タイトル 小見川に生息するイバラトミヨ雄物型の生態
担当機関 山形県内水面水産試験場
研究期間 2004~2007
研究担当者 伊藤 聡(山形県環境科学研究センター)
河内正行(山形県内水面水産試験場)
高田啓介(信州大学)
渡邊 潔
発行年度 2006
背景・ねらい
 山形県天然記念物に指定されている東根市と天童市に生息するイバラトミヨ雄物型は、mtDNAによる系統解析の結果、極東域のトミヨ属魚類の中で古くに分化した系統であることが明らかになっている(Takahashi and Goto 2001)。いまだ学名の付いていないこのグループは、環境省及び山形県に絶滅危惧種に選定されている。また、生息域のほぼ全域に養鱒区域(区画漁業)が隣接しており、イバラトミヨ雄物型の生息状況が、漁場環境や水環境の指標となっている。今回、イバラトミヨ雄物型生息域の拡大のための好適条件を探るため、その生態と環境の調査を行った。

成果の内容・特徴 1.調査は、山形県東根市の小見川(最上川の小支流)のうち、天然記念物指定区(主生息地)及びその下流で実施した。

2.産卵巣は3月中旬~9月上旬にかけて確認され、産卵期は半年続き、産卵のピークは5月~6月であると考えられた。また、飼育試験の結果、ふ化までの積算水温は約180℃・日と考えられた。

3.平成16~18年の9月下旬~10月上旬に、許可を得て、尾鰭の一部切除による標識再捕法(ピーターセン法)を用いて、天然記念物区間内の生息個体数の推定した結果(表1)、平成16年は1566尾、平成17年は1892尾とほぼ同様な数値が得られた。生息密度は1尾/m2程度と推定された。

4.採捕したイバラトミヨ雄物型の体長組成を図1に示す。春から夏にかけてふ化した仔魚は夏から秋にかけて急激に成長し成魚となり、翌年の産卵期が終了するまで生息すると考えられた。

5.主生息地の水温は、10~16℃で安定しており(図2)、このような水温環境が、イバラトミヨ雄物型の生息を可能とする一要因であると考えられた。

成果の活用面・留意点
・本調査で得られた知見は、イバラトミヨ雄物型が生息している環境の現状を評価するための指標として活用できる。さらに、イバラトミヨ雄物型の生息域の拡大等のイバラトミヨ雄物型の保護対策としても利用可能である。


図表1 229912-1.pdf
カテゴリ ばら

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