簡易構造物によるアサリ微小稚貝発生促進技術研究

タイトル 簡易構造物によるアサリ微小稚貝発生促進技術研究
担当機関 東静岡県水産試験場
研究期間 2004~2005
研究担当者 鷲山裕史 小泉康二
発行年度 2006
背景・ねらい
浜名湖のアサリ浮遊幼生は全国の主要産地と同程度に十分発生していると思われるが、浮遊幼生と着底稚貝の多少は必ずしも一致せず、アサリ幼生の着底と生残に問題があるものと考えられた。また、アサリが減少した漁場では、潮流が速い水域が多くみられた。そこで、簡易構造物(竹柵、人工草体)の設置により、潮流の緩和と幼生の着底促進及び稚貝の生残率向上を目指した。

成果の内容・特徴 1.浜名湖内に人工草体区(面積2m2、草体1m×幅0.3m、草体密度75本/m2)及び竹柵区(面積2m2、孟宗竹3m×直径0.1m、竹密度5本/m2)を設けた。

2.実験水域に来遊する着底期の浮遊幼生は春と秋に多く、高密度で来遊していることが確認された(図1)。

3.簡易構造物(人工草体区及び竹柵区)は対照区と比較して流速が緩和された(図2)。

4.簡易構造物設置約1ヵ月後に着底直後のアサリ稚貝(0.2~0.5mm)の密度を比較した結果、実験区の稚貝密度は、統計的には有意な差は認められなかったものの、対照区より高くなる傾向がみられた(図3)。

5.設置約9ヵ月後には、前年秋に着底したと思われる殻長1~2mmアサリ稚貝生息密度は、人工草体区では対照区と比較して高くなった。また、有意な差は認められなかったものの竹柵区では対照区より高くなった(図4)。

6.設置11ヵ月後には、前年秋に着底したと思われる殻長5~10mmの稚貝の生息密度は、有意な差は認められなかったものの人工草体区及び竹柵区とも対照区よりも高くなった。実験水域にカニ類やツメタガイ等の動物が見られたことから、食害により稚貝密度が変化した可能性があった。

成果の活用面・留意点
1.人工草体などの簡易構造物の設置により、殻長1~2mmの稚貝の生残を高め、稚貝の増殖を促進できる可能性が明らかになった。今後は実用化に向けた設置条件などを検討する必要がある。

2.実験水域で食害動物が現れ、その食害を受ける5~10mmの稚貝の密度について明確な差が得られなかったことから、簡易構造物の設置だけなく、食害動物の影響を排除するなどの漁場管理が必要と思われる。


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