周防灘におけるアサリの稚貝発生の大変動

タイトル 周防灘におけるアサリの稚貝発生の大変動
担当機関 生産環境部
研究期間 2005~2007
研究担当者 手塚尚明
浜口昌巳
発行年度 2007
背景・ねらい
 周防灘のアサリ漁獲量は、ピーク時の4万トン台から、近年では数百トン台と、100分の1以下に減少し、沿岸生態系の保全や持続的な食料供給の観点から、アサリ資源の回復に向けた対策方針の検討が課題である。
 アサリ資源の回復に向けた対策方針を検討するため、現在周防灘沿岸各県との共同調査を実施しており、(1)漁場間の幼生相互供給機構の解明に基づく漁場配置方針の検討、(2)漁場における着底後の生残・成長の変動の把握、を行っている。
 本課題では、上記(2)に関して、アサリ漁場における着底後のアサリの生息量の変動を複数年にわたって調べ、個体群の変動が着底後のどの段階で生じるのかを調べた。

成果の内容・特徴  大分県中津市地先の干潟におけるアサリの着底後の生息量を2005年度~2006年度にかけて調べた。調査は干潟上に設定した調査点において月に1~2回の頻度で行い、20cm×20cmのコドラート枠を用いて底泥を3回採集し、1mm目合のふるいに残ったアサリの個体数と殻長の計測を行った。調査期間中、2004年秋着底群、2005年秋着底群に由来する稚貝群が認められたが、2006年秋着底群は、2007年1月の時点で1mm以上のふるいに残る稚貝が認められず(図1)、稚貝発生の年変動が大きいことが明らかとなった。
 2004年、2005年、2006年の11月期の周防灘の平均水温はそれぞれ平年比、+1℃、+1℃、+2℃と、2006年は11月にやや高水温傾向であり(図2)、水温の変動が着底初期の生残等に影響を及ぼす可能性が示唆されたものの、さらに捕食者や餌量等他の環境要因の影響を検討する必要がある。

成果の活用面・留意点
・本研究により、稚貝発生量の大きな変動がアサリ個体群の変動を左右することが明らかとなった。今後、現場水温や捕食者、餌量、底質等の環境要因との照合により変動要因の特定が可能となる。
・今後、現場水温や捕食者、餌量、底質等の環境要因の変動と、着底初期過程および成長、産卵に与える影響を定量的に把握する必要がある。
・周防灘の海流と漁場間の幼生供給機構の解明に基づく親貝配置方針の検討と合わせて、総合的なアサリ漁獲量増加対策方針を検討できる。


図表1 229999-1.pdf
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