| タイトル | 元気に育つウナギ卵を遺伝子で見分ける-健全なウナギ種苗の生産に向けて新たな一歩- |
|---|---|
| 担当機関 | 生産技術部 |
| 研究期間 | 2005~2008 |
| 研究担当者 |
玄 浩一郎 |
| 発行年度 | 2007 |
| 背景・ねらい | 養殖研究所では、世界で初めて受精卵から養殖種苗となるシラスウナギまでの人工飼育に成功した。しかし、現状では仔魚の生残率は極めて低い。その原因の一つに、仔魚期に高い頻度でみられる様々な形態異常があげられる(図1)。これらの異常は、卵質、飼料、飼育環境等の様々な要因によって引き起こされると考えられているが、その発生機構についてはほとんどわかっていない。近年、発生学の分野では、核遺伝子とは別に未受精卵の中に含まれる母親由来の遺伝子(mRNAで構成され、母性効果遺伝子と呼ばれる)が、受精後の体の形づくりに非常に重要であることが明らかとなっている。したがって、ウナギの形態異常を解明するにあたって、この母性効果遺伝子は有効な指標となりうる。本研究では、母性効果遺伝子のうち「ウナギ仔魚が元気で育つ卵に多く含まれる遺伝子(良質卵関連遺伝子と命名)」の単離を行った。これら遺伝子の単離によって、ウナギ卵由来の形態異常発生原因の解明やそれに基づいた新たな卵質診断技術の開発が可能となると考えられ、ひいては仔魚の生残率の向上に繋がるものと期待できる。 |
| 成果の内容・特徴 | 人為催熟によって得たウナギの未受精卵を一部保存し、残りを用いて人工授精を行った。受精後10日目まで飼育を行い、形態異常が少ない群を「良い卵」、形態異常が多い群を「悪い卵」とした。「良い卵」と「悪い卵」の由来となるウナギ未受精卵を用いサブトラクション法により、両者の母性効果遺伝子の間で量的に差のある遺伝子、すなわち良質卵関連遺伝子の単離を試みた。その結果「良い卵」に多く含まれている約1200種類の良質卵関連遺伝子を単離した。さらにマイクロアレイ法を用い、別のウナギ親魚由来の「良い卵」と「悪い卵」を用いて、両者の間で量に差のある良質卵関連遺伝子を調べた(図2)。その結果、「良い卵」と比較し「悪い卵」では、14種類の良質卵関連遺伝子の量が半分以下に減少していた(表1)。これら結果は、形態異常が出現する「悪い卵」では、特定の良質卵関連遺伝子の量が少ない可能性を示すものであり、未受精卵の段階での卵の良し悪しを診断できる可能性が示唆された。 |
| 成果の活用面・留意点 | 本方法は、学術的な利用価値だけでなく、増養殖対象魚種の卵質診断技術、人為催熟時の卵質改善技術など、広範な用途に利用可能である。今後は、良質卵関連遺伝子量の低下とそれぞれの異常との関連性を調べ、卵質診断技術としての本法の適応性や限界性を検証することが必要である。 |
| 図表1 | ![]() |
| 図表2 | ![]() |
| 図表3 | ![]() |
| カテゴリ | 診断技術 |
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