| タイトル |
バイオマーカーによるかび毒の毒性評価法 |
| 担当機関 |
(国)農業・食品産業技術総合研究機構 食品総合研究所 |
| 研究期間 |
2011~2015 |
| 研究担当者 |
鈴木忠宏
岩橋由美子
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| 発行年度 |
2015 |
| 要約 |
酵母細胞を用いた遺伝子発現解析により、デオキシニバレノールおよびそのアセチル化体の真核生物に対する毒性影響の違いを判別するマーカー遺伝子が選抜され、アセチル化体に関する新たな毒性評価情報の取得が可能となる。
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| キーワード |
デオキシニバレノール、アセチル化体、毒性評価、酵母細胞、遺伝子発現
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| 背景・ねらい |
かび毒産生病害に対する食品の安全性確保技術の開発のため、穀粒中かび毒の新たな規格基準の策定に備えた科学的根拠の蓄積や評価法の高度化が求められている。その中でデオキシニバレノール(DON)には暫定基準値や暫定最大1日耐容摂取量(PMTDI)が設けられている。また、DONの産生プロセスにおいて前駆体として生成される3アセチルDON (3A-DON)並びに15アセチルDON(15A-DON)に対してもPMTDIが拡大適用されている。しかし、これはアセチル化体がDONと同じ機作で毒性を示すことが前提となっており、アセチル化体そのものの毒性には焦点が当てられていない。そこで本成果では、酵母細胞を利用してアセチル化体とDONの毒性影響の違いを表す遺伝子発現の変化を捉えることにより、基準値策定の指標となる新たな評価情報を提供するための技術を開発する。
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| 成果の内容・特徴 |
- 本課題遂行期間を通して、酵母細胞を用いた実験系でDONおよびその中間生成物である3A-DONと15A-DON(図1)を対象とした曝露試験を実施し、DNAマイクロアレイ解析により網羅的遺伝子発現情報を取得している。
- 動物によってDONと共に経口摂取された3A-DONや15A-DONは、腸内細菌叢による代謝を受け(図2A)、さらに生体内に取り込まれてからも代謝を受ける(図2B)ため、生体内では脱アセチルされDONと同様の影響を示すと考えられている。そのため基準値の策定ではアセチル化による毒性の違いが反映されていない。
- 酵母DNAマイクロアレイ解析のデータから抽出した遺伝子群を対象に発現解析を実施し、かび毒の曝露濃度を変化させることによってDON、3A-DON、15A-DONそれぞれに特徴的な遺伝子発現傾向を示す遺伝子が選抜できる。その中で、グルコーストランスポーターをコードするHXT2やHXT4を始めとする複数遺伝子の発現変化を比較することにより、DONと各アセチル化体の毒性の違いが判別可能である(図3)。
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| 成果の活用面・留意点 |
- 3A-DON、15A-DONの毒性影響を考慮する際の基礎データを提供する。
- DONとそのアセチル化体の複合汚染に際して毒性影響の違いが比較可能となる。
- 生体内における脱アセチルプロセスの反応効率は腸内細菌叢や生物種、あるいは生体の生息環境に左右されるため、取り込まれたアセチル化体が残存している時間は不明瞭である。そのため、現段階ではアセチル化体の毒性影響を正確に捉えることが困難であり、毒性評価情報の集積が求められる。
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| 図表1 |
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| 図表2 |
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| 図表3 |
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| 研究内容 |
http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/nfri/2015/nfri15_s01.html
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| カテゴリ |
評価法
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