曲面基盤を利用したクロメ種苗の大量移植による藻場造成の実証

タイトル 曲面基盤を利用したクロメ種苗の大量移植による藻場造成の実証
担当機関 宮崎県水産試験場
研究期間 2002~2006
研究担当者 荒武久道
発行年度 2007
背景・ねらい
 藻場の衰退や磯焼けの継続が見られる本県沿岸において、積極的な藻場回復手段として人工生産したクロメ種苗(種糸)の海域への展開手法の検討を行い、藻場造成を実証する。特に本県海域においては植食動物の高い食圧が藻場成立の重要な制限要因となっていると考えられているので、その食圧を低減することに留意し、クロメの高密度移植が効率的に行え、ウニ類が生息しにくい構造の基盤の開発を試みた。

成果の内容・特徴 1 クロメ種苗の効率的な大量、高密度移植に適した曲面基盤
 人工生産したクロメ種苗(種糸)を効率的に、高密度移植するためには、種糸と基盤を確実に密着させることと、その作業が容易で迅速に行えることが重要である。河川護岸等に使用される既存の球体連結基盤では、種糸の基盤への密着は非常に困難であるが、今回開発した両側面に種糸フックを有する曲面基盤では、種糸にテンションをかけながらフックにかけていくだけで、容易に、確実に密着させることができ(図1)、クロメ種苗の効率的な大量、高密度移植が実現できる。
2 ウニ類が生息しにくい単純な構造の基盤
 平成18年10月に行った、基盤状に多くの凹凸を形成する球体連結基盤と比較した観察結果(図2)からも明らかなように、曲面基盤はウニ類が進入、生息しにくい環境を形成しており、ウニ類の食害防止効果を持つことが確認された。
3 藻場造成の実証
 門川町地先で行った実証実験では、植食性魚類の生息が少ない場所においては、ウニ類が高密度で生息していてもクロメの生育は良好であり、この基盤を用いた海域へのクロメ展開手法は有効であることが示された(図3)。一方で、植食性魚類が多く生息する条件下に置いた礁では、植食性魚類の食害によりクロメは生残できず(図3)、植食性魚類の食害を防止する効果は無いことが示された。

成果の活用面・留意点
 曲面を有する基盤は、種糸の展開が容易、迅速、効率的に行え、ウニ類の食害を起こりにくくする効果を持つものであり、藻場造成事業に充分活用できる。ただし、植食性魚類の食害を防ぐ効果は無いので、使用する際には植食性魚類の生息状況を充分に考慮すべきある。


図表1 230053-1.pdf
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