太平洋クロマグロ仔魚と水温の関係

タイトル 太平洋クロマグロ仔魚と水温の関係
担当機関 海洋データ解析センター
研究期間 2007~2009
研究担当者 稲掛伝三
岡崎誠
瀬川恭平
増島雅親
発行年度 2008
背景・ねらい
太平洋クロマグロは、太平洋の温帯域を中心に広域に分布するが、産卵場は沖縄南部の海域を中心とした、比較的狭い海域を利用している。そこでふ化した仔魚は2~3ヶ月後には,高知県沖や長崎県沖の海域に来遊し、このときの来遊資源量が、その年生まれのクロマグロの豊度を左右している。すなわち、太平洋クロマグロは、産卵場から日本周辺海域までやってくるまでの減耗・生残に応じて、その後の資源量が定まるものと考えられている。0才魚の来遊資源量は変動が大きく、資源評価と管理のためには、産卵場から日本周辺海域まで来遊するまでの減耗過程の解明が重要なポイントと考えられる。本研究では仔魚期の生息環境を把握するため、産卵場周辺の海洋構造、特に表層水温との関係を調査した。
成果の内容・特徴 クロマグロの主産卵期は5月~6月である。5月の主分布域は八重山諸島から台湾沖にかけての海域にあり(図1)、その後6月の沖縄本島付近から7月の伊豆諸島周辺へと北上する。8月には日本海沿岸にも産卵場が形成される。仔魚の空間的な分布は月により変化するが、太平洋側に生息する仔魚の分布水温帯は24~28℃で、26℃台に分布の中心を持つ特徴は変わらない(図2)。成魚の月平均分布水温は6月を除いて19~23℃にあるが,主産卵期である6月に最も高い水温を示しており(図3)、成魚が産卵のために高水温域を選択しいる結果が現れていると考えられる。これらのことから、産卵行動と水温の間に密接な関係があることが示唆された。主産卵場である八重山諸島周辺海域の海洋学的な特徴は、亜熱帯循環の西端にあたり、高水温であること、西側を北流する黒潮と南側を東流する亜熱帯反流の間に存在すること、直径約数百km渦が存在していることである。これらが仔魚の成長とその後の日本近海の摂餌海域への移動にとり重要な要素と考えられる。
成果の活用面・留意点
・太平洋クロマグロの加入量変動機構の解明と加入過程を明らかにする上で端緒となる成果である。
・地球温暖化の太平洋クロマグロへの影響を予測するために重要な知見となる。

図表1 230078-1.pdf
カテゴリ 亜熱帯

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