肥沃度の低い水田では育苗箱全量施肥方式だけでは水稲栽培を継続できない

タイトル 肥沃度の低い水田では育苗箱全量施肥方式だけでは水稲栽培を継続できない
担当機関 秋田県農業試験場
研究期間 1998~1998
研究担当者
発行年度 1998
要約 肥沃度の低い水田で、リン酸、カリ、稲わら施用なしで水稲育苗箱全量施肥栽培を繊続すると、窒素供給量、交換性カリ量が低下し、取量も低下する。本栽培法を継続するにはこれらを施用することが必要となる。
背景・ねらい リン酸、カリを含まない肥料を用いた育苗箱全量施肥方式を継続した場合、
これらの養分吸収・収量に支障が生ずる可能性が指摘されている。そこで、
稲わら、リン酸・カリ連用の有無区を設定し、5年間、本方式で水稲を栽培し、
その雑続条件を検討した。
成果の内容・特徴
  1. 供試圃場は灰色低地土で、試険開始前10年聞は堆肥、稲わら等の施用を
    中止しており、肥沃度はやや低い土壊である。施肥窒素量は6Kg/10aで、
    追肥は行なっていない。
  2. 培養による土壊窒棄発現量は、稲わら連用区で多く、りン酸、
    カリを適用しても稲わら施用がない場合は少なかった
    (図1)。
  3. 玄米収量は、リン酸、カリ無施用でも4年目まで減収傾向はなかったが、
    5年目にはリン酸、カリ連用でも稲わら施用が無い区では減収した(
    表1)。
  4. リン酸・カリの吸収量は、リン酸では無施用でも特に低下する領向を
    示さなかったが、カリでは漸減する領向があり、特に無施用区で低下程度が
    大きかった(
    図2)。
  5. 土壊の可給態リン酸が10mg以下に低下した区はリン酸無施用区のみで、
    他区の減少程度は小さい。また、交換性カリ量はカり無施用、
    稲わら無施用で明らかに低下したが収穫後カリ、
    稲わら施用して耕起することで低下しなかった(
    表2)。

以上のことから、育苗箱全量施肥方式は稲わらの全量圃場還元と
リン酸施用により、土壊の窒素供給量、交換性カリ量、
可給態リン酸量が維持され、本方式による継続栽培が可能となる。
成果の活用面・留意点 稲わらの圃場還元を行うことが前提となるが、収穫物として圃場外に持ち去られる
のは主にリン酸であることから、持ち出し量に見合うリン酸を補充する。
また、土壊診断を行い、可給態リン酸が10mg以下、交換性カリが置換容量の
1%以下になった場合はリン酸、カリの補充を行う。
図表1 231239-1.gif
図表2 231239-2.gif
カテゴリ 肥料 育苗 くり 水田 水稲 施肥

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