はっ水性資材の利用による水耕液への酸素供給

タイトル はっ水性資材の利用による水耕液への酸素供給
担当機関 野菜・茶業試験場
研究期間 1996~1999
研究担当者 安場健一郎
古谷茂貴
浜本 浩
発行年度 1998
要約 水耕栽培を行う際に、コンクリート、素焼き鉢などの通気性のある水耕槽に水をはじく性質を持つはっ水性資材を浸透させることで漏水を防ぐ。また、水耕槽の通気性により水耕液の溶存酸素濃度を高めることが可能となる。
キーワード 水耕栽培、はっ水性、通気性、溶存酸素濃度
背景・ねらい 水耕栽培の導入には多額の費用がかかるため、装置を簡素化し、ランニングコストを低減する必要がある。一方、水耕栽培では、曝気装置などにより水耕液の溶存酸素濃度を高めることが一般的に行われる。そこで、はっ水性資材を浸透させた通気性素材を用いることにより曝気装置を用いることなく、水耕液の溶存酸素濃度を高め、植物を正常に生育させる水耕装置を開発する。この水耕装置は育種などの小規模で、地下部環境を均一にする必要のある実験系で用いることを前提としている。
成果の内容・特徴
  1. コンクリート製の水耕槽や素焼き鉢の底穴をふさいだものに、シラン系のはっ水性資材を浸透させる(図1)。シラン系のはっ水性資材はコンクリートなどケイ素を含む資材の表面に反応し強いはっ水性を有する。このはっ水性によりコンクリートや素焼き鉢の内部が空気の層のようになり、これが水耕槽内の水耕液と直接接することにより、水耕液の溶存酸素濃度が高まる。
  2. はっ水性資材を処理した水耕装置で栽培すると、通気性のない装置で栽培した場合に比べて水耕液中の酸素濃度が高くなり(図2、3)、ホウレンソウでは地上部、地下部とも大きくなる(表1)。また、はっ水性資材を用いた水耕栽培では土耕と同程度の植物の生育がみられ、しかも生育のばらつきは小さくなる。トマトにおいても生育期間を通して水耕液の溶存酸素濃度は高くなる。
成果の活用面・留意点
  1. 装置の製作方法が簡単で、しかも電源がない場所でも利用ができる。
  2. 一度のはっ水処理で今までの実験では3回は使用可能である。
  3. 植物を大きく生育させる場合には、酸素供給能力が不足するため、葉菜類など生育期間の短いものの栽培に特に適する。
  4. 多くの処理区を有し、地下部の環境を均一にする必要がある実験系での利用に適する。
図表1 231342-1.gif
図表2 231342-2.gif
図表3 231342-3.gif
図表4 231342-4.gif
カテゴリ 育種 水耕栽培 トマト ほうれんそう

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