タイトル |
山間地域における農家住民の意向と活性化方策 |
担当機関 |
秋田県農業試験場 |
研究期間 |
2000~2004 |
研究担当者 |
阿部健一郎
渋谷 功
芳賀陽登美
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発行年度 |
2000 |
要約 |
山間地域の農家住民が望む経済基盤強化のためには、「特産物生産」「直売」意向農家を中心に加工所・直売所の活用やレストラン・地元観光施設との連携によって地場農産物の生産・消費拡大を図り、農業所得の向上と地場産業を育成していくことが必要である。これによって雇用が創出され、地域の活性化が図られる。
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背景・ねらい |
山間地域では担い手の流出・高齢化により、生産活動の停滞、耕作放棄地の増加等の問題が生じている。それに伴い、公益的機能の低下や地域社会の崩壊も懸念されるため、それらを維持する担い手確保が重要である。そのためには、地域・農業振興方策を早急に講じる必要がある。そこで、山間地域阿仁町を対象に農家住民の意向を把握し、農業振興を中心とした地域活性化方策について検討する。
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成果の内容・特徴 |
- 山間地域に定住するために、農家は「集落から通える就労の場」の確保による経済基盤強化を最も望んでいる。1戸当たり経営耕地面積が小さく、稲単作の農業生産では所得拡大に期待ができないため「農林業の振興」の要望が低い。しかし、企業誘致は困難な情勢であるため、農林業振興や地場産業の育成を進めていく必要がある(図1)。
- 規模が零細な農家は、「農業に将来性がない」「高齢化」等を理由に、農業経営を「縮小」「やめたい」とする意向が強く、農地の荒廃が懸念される。このため、農業所得の向上を図るためには、規模が大きい「拡大」「現状維持」意向農家を中心に「特産物の生産」や「直売」等を推進していくことが重要である(図2,3)。
- これらの農家を中心に、加工所で取り扱っているふきやぜんまい等の山菜や野菜の栽培と生産の組織化を図り、原材料供給体制を強化することで、安定した所得確保が可能となる。また、規模が零細な農家でも山菜、野菜等の販売意欲がみられることから、直売活動への参加によって、所得の確保と農業の継続が期待できる(表1)。
- 直売所での農産物販売は、観光客だけでなく、地元非農家や野菜を購入している農家への安全・新鮮な農産物の提供が可能となる。さらに、地場農畜産物や加工品を使用した料理をレストランや地元観光施設等で提供することによって、農業生産や地場産業の拡大が図られ、農業所得の向上と就労機会の増加に結びつく(図4)。
- 小規模農家の特産物生産拡大や農地保全を図るためには、機械利用を補完する公社等の設立も重要である。これにより耕作放棄地が抑止され、小規模農家の特産物生産が促進される。以上のことから経済基盤が強化され、地域活性化につながる(図4)。
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成果の活用面・留意点 |
- 特産物生産や組織活動の強化、農家と観光施設等との連携強化を図るためには、JA・自治体等の支援が不可欠となる。
- 加工所の設置・強化には、販売ルートの確立による販売量の拡大が必要である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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カテゴリ |
加工
経営管理
消費拡大
生産拡大
ぜんまい
ふき
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