タイトル | 肥育後期におけるイネホールクロップサイレージの給与効果 |
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担当機関 | (独)農業技術研究機構 東北農業研究センター |
研究期間 | 1999~2001 |
研究担当者 |
篠田満 櫛引史郎 新宮博行 上田靖子 村井勝 嶝野英子 田中治 |
発行年度 | 2001 |
要約 | 肥育後期の黒毛和種去勢牛には1日あたり7kgのイネホールクロップサイレージを給与でき、濃厚飼料給与量を節減できる。また、血液中のビタミンA濃度を正常値に保つ効果があり、枝肉の格付においても脂肪(BFSNo.)の色に問題はない。 |
キーワード | 動物栄養、肉用牛、肥育、イネサイレージ、ビタミンA、枝肉 |
背景・ねらい | 我が国の畜産は海外から濃厚飼料原料ばかりでなく、乾草や稲ワラなど粗飼料も一部輸入している。一方で、稲作においては米の過剰により生産調整が強化されている。このような状況で、水田機能を維持し、かつ飼料を自給するためにはイネの飼料化が有効である。イネホールクロップサイレージ(イネWCS)は収量が多く、穀実部分が濃厚飼料の代替となることが期待される。そこで、本課題ではイネWCSを肥育後期に多給した場合の肥育効果を検討した。 |
成果の内容・特徴 | 1. 黒毛和種去勢牛の18.5ヶ月齢からの肥育後期にイネホールクロップサイレージ(イネWCS)を多給する肥育方法を、慣行の稲ワラ給与法と比較した(表1)。肥育前期は乾草と濃厚飼料を、また、イネWCSは黄熟後期と黄熟期に収穫した乾物率が約38~48%のものを給与した。なお、イネWCSのβカロテン含量は10~20mg/kgDMであった。 2. イネWCSの嗜好性は良く、1日当たりの原物摂取量は約7kg(乾物換算:約2.5~3kg)である(表2)。この場合の濃厚飼料の摂取量は約6kgである。このように、イネWCSを多給することにより、濃厚飼料の給与量を稲ワラ区よりも抑制して、同等以上の日増体量を得ることが可能である。 3. 稲ワラ区は粗飼料をワラに切り替えた3ヶ月以降から血液中のビタミンA濃度がしだいに低下するのに対して、イネWCS給与区は肥育期間を通じて45~60μg/dlの正常値を維持する(表3)。 4. 枝肉の格付を同一種雄牛の産子で比較すると、稲ワラ区が全頭4等級であったのに対して、イネWCS給与区ではややばらつく程度で、脂肪の色(BFSNo.)に問題はない(表4)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 肥育後期においてイネWCSを多給できることを明らかにした。 2. 粗飼料では予乾の有無など収穫調製法によってβカロチン量が変動する。本試験はダイレクトカットで収穫したイネWCSを給与した。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | 水田 肉牛 ばら |