タイトル |
クロルピクリンくん蒸剤のマルチ畦内処理によるキュウリホモプシス根腐病の防除 |
担当機関 |
岩手農研セ |
研究期間 |
2005~2006 |
研究担当者 |
岩舘康哉
山田修
堀越紀夫(福島農総セ)
平子喜一(福島農総セ)
|
発行年度 |
2006 |
要約 |
キュウリホモプシス根腐病に対する防除対策として、クロルピクリンくん蒸剤のマルチ畦内処理が有効である。防除効果の安定化には、作畦時に畦幅はできるだけ広くするもしくは畦を高くし裾を埋め込むこと、および苗の定植位置を畦の中央部とすることが重要である。
|
キーワード |
キュウリ、ホモプシス根腐病、土壌消毒
|
背景・ねらい |
キュウリホモプシス根腐病は難防除の土壌伝染性病害で、各地で被害が拡大している。最も有効な対策は圃場転換であるが、代替地を持たない生産者もみられ、薬剤による土壌消毒効果の安定化技術が求められている。土壌消毒剤としてはクロルピクリンくん蒸剤が有効であるが、処理条件によっては十分な効果が得られない場合もみられる。そこで、クロルピクリンくん蒸剤の効果的な処理方法と消毒後の苗の定植位置と発病の関係について検討する。
|
成果の内容・特徴 |
- クロルピクリンくん蒸剤のマルチ畦内処理は、キュウリホモプシス根腐病に対して防除効果が認められる。その効果はガス抜き耕起を伴う全面処理と比べて優れる(図1)。
- マルチ畦内処理を行う場合、畦肩幅を90cm(1,350mm幅マルチ使用)とすると、慣行の60cm(950mm幅マルチ使用)と比較して防除効果が高まる(図2)。また、畦肩幅を慣行の60cmとする場合でも、1,350mm幅マルチを用いて畦の高さを15cm、マルチの裾を15cm程度埋め込むことにより防除効果が高まる(図3)。
- マルチ畦内処理をしても、畦の肩付近に苗を定植すると防除効果が劣る(図4)。
|
成果の活用面・留意点 |
- マルチ畦内処理は、畦立て・マルチ被覆と同時に薬剤を処理するため、マルチフィルムをくん蒸被覆シートに兼用できる。なお、ガス抜き耕起を省略するため、十分なくん蒸期間を確保するとともに、ガスが抜けたことを確認した上で苗を定植する。特に、ガスが抜けるまでの期間は、気象や土壌条件によって異なるので留意する。
- 土壌消毒畦幅を広くする場合は、マルチの幅に応じて使用薬量を増量する。
- クロルピクリンくん蒸剤の使用にあたっては、農薬使用基準を遵守し、効果・薬害等の注意事項を確認する。
- マルチ畦内処理では、耕起作業による消毒不十分な深層土壌との混和が起こらず、耕起を伴う全面処理よりも効果が優れると考えられる。
- 畦幅が狭い場合や消毒後に畦肩近くへ定植した場合に効果が不安定となるのは、キュウリ根が早期に未消毒の通路部分に進展して感染・発病するためと考えられる。
- 露地作型で高畦・裾埋め込み栽培を行う場合は、マルチ畦内の水分不足により減収する可能性があるため、かん水チューブで畦内かん水を行うことが望ましい。
- 土壌消毒の効果は1作のみで、次作への効果持続は期待できない。
|
図表1 |
 |
図表2 |
 |
図表3 |
 |
図表4 |
 |
カテゴリ |
病害虫
きゅうり
栽培技術
土壌消毒
根腐病
農薬
防除
薬剤
|