タイトル |
水稲湛水土中直播栽培におけるピラゾレート粒剤の減量使用による雑草防除体系 |
担当機関 |
秋田農技セ農試 |
研究期間 |
2007~2008 |
研究担当者 |
三浦恒子
進藤勇人
佐藤雄幸
眞崎聡
中山壮一(東北農研)
|
発行年度 |
2008 |
要約 |
水稲湛水直播栽培において、落水出芽後の湛水時に、ピラゾレート粒剤を減量使用(1.5kg/10a)してノビエの発生を遅らせることで、一発処理除草剤の使用可能期間が拡大し、より十分な除草効果が得られる。
|
キーワード |
湛水直播栽培、ピラゾレート粒剤、ノビエ、使用適期、減量使用
|
背景・ねらい |
水稲直播栽培に登録のある一発剤の多くは、登録使用時期が水稲1葉期からノビエ2.5葉期であるが、寒冷地においては水稲の生育が遅く一発剤の使用適期は極端に短い。このため初期剤との体系使用によりノビエの発生を遅らせ、一発剤の使用可能期間を拡大する必要があるが、直播栽培に使用できる初期剤は極限られている。ピラゾレート粒剤は水稲に対する安全性が高く、またノビエに対する効果も高い初期剤であるが、比較的価格が高いというコスト面の欠点がある。そこでピラゾレート粒剤(登録使用量3~4kg/10a)を1.5kg/10aで減量使用した場合の適用性を検討し、一発剤との組み合わせを前提とした除草体系を確立する。
|
成果の内容・特徴 |
- 落水処理後のピラゾレート粒剤の減量使用は、ノビエを含む各草種を播種後約1ヶ月は効果的に抑草し,その効果は通常の3kg/10a使用と同等である。また一発剤との体系使用では、減量使用は通常使用と同等の十分な抑草効果を有し、体系処理の前処理剤として有効である(表1)。 湛水直播栽培では、催芽籾に過酸化カルシウム16粉粒剤を等倍量粉衣した種子を用いて、播種量は4kg/10a に設定して、代かきから3日以内に播種する。播種後は落水出芽法による管理を行い、入水時期は鳥害の有無や土壌状態により決定する。雑草管理方法と施肥法は営農条件に合わせて組み立てする(表1)。
- 大区画圃場(1ha)においても、ピラゾレート粒剤の減量散布と一発剤の体系使用は、復元田,連作水田の別、代かきの有無によらず除草効果は高い(表2)。
- ピラゾレート粒剤の減量使用と一発剤の体系使用における一発剤の使用適期は、一発剤単用の1~3日間に対し、10日間程度に拡大できる。これにより一発剤の使用時期を遅くすることができるため、後次発生雑草も有効に防除でき,中後期剤を省略できる可能性がある(図1)。
|
成果の活用面・留意点 |
- 寒冷地における湛水土中直播栽培の雑草防除において、本技術を活用することができる。
- スルホニルウレア抵抗性雑草および多年生雑草が多く発生する圃場では、中後期剤の使用を省略できないことがある。
- 落水出芽終了後、湛水開始から処理までの日数が短いため、減水深が大きい場合や、落水処理による土壌の亀裂が大きい場合等には、湛水状態が保てず、ピラゾレート粒剤の効果が劣ることが予想される。
- すべてのデータは、秋田農技セ農試内の圃場において、水稲の葉齢とノビエの葉齢の関係が一発剤を適期使用できる条件で行った試験によるものである。2007年、2008年とも、ピラゾレート粒剤による苗立抑制は見られず、収量にも影響は無い。
- ピラゾレート粒剤の減量使用(1.5kg/10a)については、登録申請中である。
|
図表1 |
 |
図表2 |
 |
図表3 |
 |
カテゴリ |
病害虫
コスト
雑草
直播栽培
除草
除草剤
水田
水稲
施肥
鳥害
抵抗性
播種
防除
|