機能性成分リコペンを多く含む生食用の中間母本候補「トマト盛岡34号」

タイトル 機能性成分リコペンを多く含む生食用の中間母本候補「トマト盛岡34号」
担当機関 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 東北農業研究センター
研究期間 1991~2003
研究担当者 沖村 誠
松永 啓
石井孝典
石内傳治
川頭洋一
藤野雅丈
内海敏子
片岡 園
矢ノ口幸夫
由比 進
発行年度 2003
要約 生食用トマト「盛岡34号」は、抗酸化作用の高い機能性成分であるリコペンを新鮮重100g当たり7~13 mg 含んでいる。これは現在流通している普通トマトの含量の2~3倍に相当する。高リコペン性は、主に1個の劣性遺伝子に支配されている。
キーワード トマト、リコペン、機能性、生食用、支柱栽培
背景・ねらい
カロテノイド色素の一種であるリコペンは抗酸化作用が強く、機能性成分として注目を集めている。トマトにはこの物質が多く含まれているが、日本で用いられている生食用トマト品種はリコペン含量が比較的低く、これを高めた支柱栽培向き生食用トマトが求められている。
成果の内容・特徴 1.
1993年に「桃太郎」の自殖後代「Mo16411」と高リコペン遺伝子を有する「Manapal」とを交配し、リコペン含量と他の実用形質に着目して選抜を行った結果、2000年に「盛岡34号」を育成した(図1)。2001年から3年間、特性検定試験を実施した結果、高リコペン性が確認され、実用形質についても一定の評価が得られている。
2.
生食用トマト品種「桃太郎」のリコペン含量が新鮮重100g当たり 5.2 mg であるのに対して、「盛岡34号」は 13.8 mg であり、2倍以上の高い含量を示す。また、この値は育成親に用いた「Mo16411」および「Manapal」より高い(図2)。
3.
F size="-2">2世代における分離より、「盛岡34号」の持つ高リコペン性は主に1個の劣性遺伝子に支配されると推定される。また、F size="-2">1のリコペン含量が期待されるより高いことなどから、微動遺伝子の関与も推定される(表1)。
4.
「盛岡34号」は、「桃太郎」と比較すると、収穫開始はやや遅く、収量はやや少なく平均果重はやや小さい。果実は硬く、裂果がやや多い。糖度はやや低い(表2)。また、育成親の「Manapal」と比較すると、収量と糖度は高く、空洞は少ない(表2)。
成果の活用面・留意点 1.
支柱栽培の生食用トマト品種のリコペン含量を向上させる育種素材に利用できる。
2.
高リコペン性を支配する遺伝子は劣性であるため、F size="-2">1品種の親に用いる場合は両親にこの遺伝子を保有させる必要がある。
3.
熟期はやや晩生で、茎葉がやや折れやすいので注意が必要である。
4.
萎凋病レース1に対して安定した抵抗性を持つが、萎凋病レース2と半身萎凋病に対しては、抵抗性を持たない。TMVによるウイルス病抵抗性に関しては、両親と同様に抵抗性遺伝子を保有していない。
図表1 233001-1.gif
図表2 233001-2.gif
図表3 233001-3.gif
図表4 233001-4.gif
カテゴリ 育種 機能性 機能性成分 抵抗性 抵抗性遺伝子 トマト 品種

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