タイトル | クワシロカイガラムシ抵抗性のDNAマーカー選抜可能な茶中間母本候補2系統 |
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担当機関 | (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 野菜茶業研究所 |
研究期間 | 2002~2006 |
研究担当者 |
田中淳一 吉田克志 武田善行 谷口郁也 荻野暁子 |
発行年度 | 2003 |
要約 | ‘KM8’および‘KM62’は‘さやまかおり’由来のクワシロカイガラムシ抵抗性遺伝子MSR-1を有し、これに連鎖するDNAマーカーにより後代の選抜が可能である。また炭疽病、輪斑病にも抵抗性であり、耐病虫性の交配母本として有用である。同時に緑茶品種の細胞質の多様化にも貢献できる。 |
キーワード | チャ、KM8、KM62、クワシロカイガラムシ抵抗性、DNAマーカー選抜、耐病性、細胞質 |
背景・ねらい | 現在、単一のクローン品種‘やぶきた’がわが国の茶園面積の約3/4を占めている。その他の品種も細胞質を‘やぶきた’から引き継いでいるものが多い。‘やぶきた’の寡占は摘採期の集中とともに、特定病害虫の多発の原因となっている。特にクワシロカイガラムシについては通常の2.5-5倍の薬剤が散布されており問題視されている。チャ品種‘さやまかおり’に由来する抵抗性遺伝子MSR-1が発見され、その実用的な選抜マーカーが開発された。クワシロカイガラムシ抵抗性についてはDNAマーカー選抜が可能であり、耐病性を有し、かつ緑茶品種の細胞質の多様化にも貢献できる中間母本を育成する。 |
成果の内容・特徴 | 1. ‘KM8’および‘KM62’は炭疽病・輪斑病に抵抗性の‘金-Ck17’を種子親、クワシロカイガラムシ抵抗性の‘さやまかおり’を花粉親として1995年に交雑して得られた集団中より選抜した系統である(図1)。 2. ‘KM8’および‘KM62’は‘さやまかおり’由来のクワシロカイガラムシ抵抗性遺伝子MSR-1を有しており、その後代は実用的なDNAマーカー選抜が可能である。図2にその例を示す。 3. ‘KM8’の一番茶の萌芽期・摘採期は中生、‘KM62’は晩生である。 4. ‘KM8’および‘KM62’は耐病性は炭疽病・輪斑病に強であり(表1)、後代にも抵抗性強の個体が多数出現する(表2)。 5. ‘KM8’の製茶品質は外観が優れるが、内質は水色が薄く滋味が淡白である。一方、‘KM62’の製茶品質は水色が薄い点を除けば良好で、特に外観が優れ、内質も滋味が濃厚である(表1)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. ‘KM8×さきみどり’のF1集団では早生~中生の個体が多く出現するのに対し、‘KM62×さきみどり’のF1集団では中生~中晩生の個体が多く出現する。 2. ‘KM8’および‘KM62’の細胞質は種子親の‘金-Ck17’に由来し、‘やぶきた’型とも‘あさつゆ’型とも異なるため、‘KM8’または‘KM62’を種子親側に用いることにより緑茶品種の細胞質の多様化に貢献できる。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
図表4 | |
カテゴリ | 害虫 炭疽病 茶 DNAマーカー 抵抗性 抵抗性遺伝子 品種 薬剤 |