金属元素含有量による茶葉の原産国および生産県の判別技術

タイトル 金属元素含有量による茶葉の原産国および生産県の判別技術
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 野菜茶業研究所
研究期間 2003~2006
研究担当者 山口優一
氏原ともみ
水上裕造
木幡勝則
林宣之
発行年度 2006
要約  茶葉中の金属元素含有量を用いて、正準判別分析を行うことにより、97%の適中率で国産か中国産か豪州産茶かを判別できる。同様にして、95%の適中率で静岡県産か三重県産か鹿児島県産茶かを判別できる。
キーワード 茶、金属元素、原産地判別、正準判別分析
背景・ねらい  中国など外国からの輸入茶の国産茶への混入の可能性や、ブランド名のついた国産茶の生産量以上の流通量の多さが指摘されている。しかし、正しい表示に基づく健全な流通確保の裏付けとなり、偽装表示の抑止力となりうる科学的な茶の原産地判別技術は未開発である。そこで、煎茶について、金属元素含有量により国産、中国産および豪州産茶を判別する手法ならびに静岡県産、三重県産および鹿児島県産茶(3県で日本の茶生産量の約75%を占める)を判別する手法を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 金属元素含有量は、粉末化した茶葉500mgを、濃硝酸と過酸化水素水を用いて湿式灰化した後、誘導結合プラズマ質量分析法で測定する。
  2. 判別対象とする全茶試料の半数を用いて作成した正準判別関数式は、式1、2、3、4ともにp0.001と良好であり、3国の判別にはBa、Mg、Mn、Ni、Rb、Srの6元素が、3県の判別にはAl、Cu、Fe、Mg、Ni、Rb、Znの7元素が選択できる。
  3. 作成した正準判別関数式より、97%の適中率で3国の判別ができる(図1と表1)。同様に、95%の適中率で3県の判別ができる(図2と表1)。
  4. 残りの半数の茶試料を用いて正準判別関数式の精度評価を行ったところ、3国判別では97%、3県判別では95%の適中率が得られ、信頼性が高い(表1)。
成果の活用面・留意点
  1. 金属元素含有量測定には誘導結合プラズマ発光分析法も用いることができる。同法ではRbは測定できないが、Rbを除いて解析した場合でも判別適中率の低下は数%程度であり、問題なく使用できる。
  2. 用いた茶葉は一番茶適期のものである。国産茶は2004年および2005年に主要茶産地(埼玉県10、静岡県76、愛知県11、三重県42、滋賀県16、京都府20、奈良県13、福岡県17、佐賀県23、熊本県22、宮崎県26、鹿児島県42試料)より、中国産茶は2004年に四川省(2試料)および浙江省(38試料)より、豪州産茶は2004年にビクトリア州(16試料)よりそれぞれ入手したものである。
  3. 開発した判別技術はブレンドした茶、一番茶以外の茶、極端に若い芽やこわ葉を原料とした茶には適用できない。
  4. 開発した判別技術は3国間および3県間の判別に有用であるが、測定試料数の増加や年次変動の調査を通して、今後も精度を検証して行く必要がある。
図表1 233105-1.gif
図表2 233105-2.gif
図表3 233105-3.gif
図表4 233105-4.gif
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