タイトル |
大果で甘味が多く食味の優れるリンゴ新品種「もりのかがやき」 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所 |
研究期間 |
1981~2008 |
研究担当者 |
副島淳一
別所英男
古藤田信博
阿部和幸
岩波 宏
増田哲男
小森貞男
吉田義雄
伊藤祐司
土屋七郎
高橋佐栄
森谷茂樹
羽生田忠敬
加藤秀憲
石黒 亮
樫村芳記
真田哲朗
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発行年度 |
2009 |
要約 |
リンゴ新品種「もりのかがやき」は、「つがる」と「ガラ」の交雑実生から選抜された中生の黄色品種である。大果で甘味が多く、酸味が少なく、食味に優れる。果実の日持ち性が良く、収量は多い。
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キーワード |
リンゴ、新品種、食味良好、大果、中生、黄色品種
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背景・ねらい |
高品質な果実に対する消費者のニーズは高く、その一方で、着色管理の省力化が可能な黄色品種への生産者の関心が近年高まっている。そこで、成熟期が異なる高品質な黄色品種のシリーズ化を図るために、外観や食味が優れる黄色の中生品種を育成する。
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成果の内容・特徴 |
- 1981年(昭和56年)に農林水産省果樹試験場盛岡支場(現:農研機構果樹研究所リンゴ研究拠点)において、「つがる」に「ガラ」を交雑して得られた実生から選抜した品種である。「リンゴ盛岡63号」の系統番号を付し、2002年(平成14年)から2008年(平成20年)までリンゴ第5回系統適応性検定試験に追加系統として供試して検討した結果、2009年(平成21年)2月の同試験成績検討会において新品種候補として適当であるとの結論が得られた。2009年(平成21年)7月28日に品種登録出願し、同年9月24日に「もりのかがやき」として出願公表された。
- 樹姿は開張性で樹勢は中程度である。開花期は育成地で5月中旬で、「ふじ」と同時期である。「さんさ」を除く主要栽培品種とは交雑和合性であり、結実が良く、収量が多い。果実の成熟期は育成地で10月中下旬で、「ジョナゴールド」より5日程度、「ふじ」より約3週間早い(表1)。
- 果皮は黄色で着色は少なく、さびの発生は少ない(図1)。果実重は370gと大果である。肉質は中、糖度は15%程度、酸度は0.24g/100ml程度である。甘味が多く、酸味は少なく、食味が安定して優れている。果肉は粉質化しにくく、日持ち性が良い。裂果と後期落果は少し発生するが、みつ、心かびの発生はほとんど見られない(表1)。
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成果の活用面・留意点 |
- 着色管理の不要な高品質品種として黄色リンゴ品種の利用拡大に有効である。
- 既存のリンゴ栽培地域で利用できるが、地域によっては果肉の褐変症状が発生することがある。
- 過度の果実肥大促進は裂果の発生を助長するため、適正な栽培管理を行う。
- 収穫期後半には果実表面にワックスが発生するが、品質や貯蔵性には問題ない。
- 斑点落葉病には抵抗性であり、黒星病にはり病性であるが、通常の薬剤散布により被害を回避できる。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
黒星病
栽培技術
省力化
新品種
抵抗性
品種
薬剤
良食味
りんご
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