リンゴエチレン受容体タンパク質は1-MCP処理果実でより安定になる

タイトル リンゴエチレン受容体タンパク質は1-MCP処理果実でより安定になる
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所
研究期間 2005~2007
研究担当者 立木美保
遠藤敦史
羽山裕子
中村ゆり
発行年度 2009
要約 リンゴエチレン受容体タンパク質MdERS1とMdERS2は1-MCP処理果実においてより安定になる。一方、高濃度エチレン処理によってより不安定になる。1-MCPによるリンゴの鮮度保持効果はエチレン受容体タンパク質の安定性が深く関与する。
キーワード リンゴ、エチレン受容体、タンパク質、1-MCP、mRNA発現量
背景・ねらい リンゴ果実は自ら生成するエチレンによって、成熟・老化が進行する。エチレン受容体はエチレンシグナル伝達経路を負に制御することから、エチレン受容体の動態はエチレン感受性や日持ち性に深く関与している。エチレン作用阻害剤である1~メチルシクロプロペン(1-MCP)はエチレン受容体に作用して果実の鮮度を高く保つが、その鮮度保持効果の分子機構については明らかにされていない。そこで、「ふじ」と「王林」を用いて、1-MCPや高濃度エチレン処理を行った際のエチレン受容体の動態について解析し、リンゴで1-MCP鮮度保持効果が高い理由について考察する。
成果の内容・特徴
  1. 無処理の場合、収穫後の果実ではエチレン生成量の増加に伴い、果肉硬度は低下する。一方、1-MCP処理を行った場合、処理直後から一定期間は両品種ともにエチレン生成量の増加と果肉硬度の低下は抑制される(図1、2)。
  2. 無処理の場合、エチレン受容体MdERS1とMdERS2のmRNA発現量は増加するが、タンパク質量はあまり変化しない。1-MCP処理を行った場合、処理直後から一定期間はこれらエチレン受容体のmRNA発現量は減少するが、タンパク質量はあまり変化しない。従って、この間のmRNA発現量当たりのタンパク質量の比は、1-MCP処理では無処理よりも高い値を示す(図3)。
  3. 一方、高濃度のエチレン処理を行った場合、これらのエチレン受容体mRNA発現量は無処理よりも増加するが、タンパク質量は変化しないため、mRNA発現量当たりのタンパク質量の比は無処理より低い値を示す(図4)。
  4. 以上の結果から、これらのエチレン受容体タンパク質は1-MCP処理を行った果実においてより安定になり、エチレン存在下では分解が進むと推測される。従って、1-MCPによるリンゴの鮮度保持効果はエチレン受容体タンパク質の安定性が深く関与することが示唆される。
成果の活用面・留意点
  1. 日持ち性の良好な「ふじ」と中位の「王林」について、上記二つのエチレン受容体の動態を比較すると、「ふじ」のエチレン受容体タンパク質の方が「王林」よりも安定である可能性が推測されるが、リンゴ品種間における日持ち性とエチレン受容体の安定性との関連性については、果実で発現する全てのエチレン受容体タンパク質について更に解析する必要がある。
図表1 233802-1.png
図表2 233802-2.png
図表3 233802-3.png
図表4 233802-4.png
カテゴリ 品種 りんご

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