遺伝子組換えによる"黄花神馬"の作出

タイトル 遺伝子組換えによる"黄花神馬"の作出
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 花き研究所
研究期間 2006~2009
研究担当者 大宮あけみ
住友克彦
間竜太郎
発行年度 2009
要約 遺伝子組換えでカロテノイド酸化開裂酵素遺伝子(CmCCD4a)の発現を抑制することにより、キク「神馬」の白色花弁を黄色に改変出来る。
キーワード キク、カロテノイド、カロテノイド酸化開裂酵素(CmCCD4a)、花色、遺伝子組換え、RNA干渉
背景・ねらい 「神馬」は栽培ギクの中で最も生産量が多い白花輪ギク品種である。枝変わりの選抜や放射線照射等による変異育種により"黄花神馬"の作出が試みられているが、「神馬」は黄色への変異が起こりにくい品種であり、未だ成功していない。キク花弁の白色は合成されたカロテノイドが白色花弁特異的に発現しているカロテノイド酸化開裂酵素(CmCCD4a)により分解されることにより形成される。そこで、遺伝子組換えにより「神馬」花弁におけるCmCCD4aの発現を抑制し、花弁にカロテノイドが蓄積した"黄花神馬"の作出を試みる。
成果の内容・特徴
  1. カナマイシン耐性マーカーを持つバイナリーベクター pBI101を用いてCmCCD4aのRNA干渉(RNAi)コンストラクトを作製し、アグロバクテリウム法により「神馬」に導入する。CmCCD4aの発現が野生型の16.4%まで抑えられ、花の中心部がわずかに黄色に着色した形質転換体 (T1) が得られる。
  2. ハイグロマイシン耐性マーカーを持つバイナリーベクター pH7GWIWG2(Ⅱ) を用いてRNAiコンストラクトを構築してT1に導入することにより、CmCCD4aの発現が野生型の10%以下に抑えられ、舌状花弁が黄色になった形質転換体を得ることができる(T2)(図1)。
  3. T2の中で最も花弁の黄色が濃かった系統(T2-2)は102μg/gfwのカロテノイドを花弁に蓄積している(図1)。このときのCmCCD4aの発現量は野生型の0.4%である(図2)。
  4. 形質転換「神馬」の茎長や葉の大きさが野生型よりも小さい値を示す傾向が認めらるが、花径には有意な差が認められない(図2)。
成果の活用面・留意点
  1. 遺伝子組換えによるキクの花色改変に活用できる。
  2. キク以外の植物に応用する場合は、花弁におけるカロテノイドの蓄積にカロテノイド酸化開裂酵素が関与しているかどうかを調べる必要がある。
  3. 栄養体が形質転換体において小さい傾向を示した原因として、培養変異またはカロテノイド分解産物の影響が考えられ、今後さらに検討していく必要がある。
図表1 233824-1.png
図表2 233824-2.png
カテゴリ 育種 きく 品種

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