窒素減肥による一番茶新芽中カテキン類含量の増加

タイトル 窒素減肥による一番茶新芽中カテキン類含量の増加
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 野菜茶業研究所
研究期間 2005~2009
研究担当者 松永明子
佐波哲次
根角厚司
発行年度 2009
要約 一番茶期の新芽では、有望系統として選抜した緑茶品種・系統において、窒素施肥量を減らすと4種の主要カテキン類の含量が増加する。その傾向は低窒素施肥(20kg/10a)になるほど顕著である。
キーワード チャ、窒素施肥量、カテキン類含量、品種・系統間差
背景・ねらい 窒素施肥は、チャの生育や製茶品質の向上に重要であるが、過剰な窒素施用は環境への悪影響を招くため、窒素施肥量の削減による適正な管理が求められている。そのような背景の下、窒素施肥量の削減が、品質に及ぼす影響の品種間差の有無を調べることは重要である。そこで、茶の渋味を構成する重要な成分であるカテキン類について、窒素施肥量と含量変化の品種・系統間差の有無について明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 一番茶期の新芽においては、窒素施肥量を20kg/10aまで減らすと4種の主要カテキン類含量および合計含量も顕著に増加する傾向がある(表1)。
  2. 一番茶期の新芽中の主要カテキン類(エピカテキン(EC)、エピガロカテキン(EGC)、エピカテキンガレート(ECG)、エピガロカテキンガレート(EGCG))の含量は、品種・系統間、窒素施肥水準間、年次間で差が認められる(表2)。
  3. 品種・系統と窒素施肥水準の交互作用はいずれの主要カテキン類含量においても認められず、窒素施肥量を削減した場合のカテキン類含量が増加することについて供試14品種・系統間で差はない(表2)。
成果の活用面・留意点
  1. カテキン類の含量に品種・系統間差があることから、カテキン類含量の低い品種の育成は可能と考えられるが、窒素減肥によるカテキン含量の増加に品種・系統間差がないことから、低窒素施肥条件下でもカテキン含量の増加しにくい品種の育成は困難と考えられる。
  2. 二番茶期の新芽中のEC、EGC、ECG、EGCGの含量は、品種・系統間、年次間で差が認められる。また、ECとECGの含量は、窒素施肥水準間で差が認められ少肥条件下で増加する。品種・系統と窒素施肥水準の交互作用はいずれの主要カテキン類含量においても認められない。
  3. 本成果は、新芽中に占めるカテキンの割合について示したものであり、低窒素条件下で、カテキン類の合成が促進されるかどうかは未解明である。
  4. 供試材料として用いた8系統は、緑茶の有望系統として選抜されたものであり、それぞれの交配親は、「金系30-3」(あさつゆ×Z1)、「金系30-4」(静印雑131×めいりょく)、「金系30-6」(かなやみどり×ふじみどり)、「金系30-7」(かなやみどり×ふじみどり)、「金系30-9」(やぶきた×枕Cn25)、「金系30-10」(やぶきた×枕Cm18)、「金系30-13」(さえみどり×さやまかおり多芽体)、「金系30-14」(しゅんめい×さやまかおり)である。
図表1 233860-1.png
図表2 233860-2.png
カテゴリ 施肥 品種

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