タイトル |
SSRマーカーを基にしたチャの標準連鎖地図 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 野菜茶業研究所 |
研究期間 |
2002~2012 |
研究担当者 |
谷口郁也
古川一実
太田(目徳)さくら
山口信雄
氏原ともみ
河野いづみ
福岡浩之
田中淳一
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発行年度 |
2012 |
要約 |
作成したチャの標準連鎖地図は、SSR(単純反復配列)マーカーを基に作成され、コアマップと遺伝解析集団の両親の連鎖地図から構成される。この連鎖地図は、チャの選抜マーカー開発や品種識別、ツバキ科植物の遺伝解析や多様性解析に利用できる。
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キーワード |
チャ、SSR、DNAマーカー、連鎖地図
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背景・ねらい |
木本作物のチャの育種において、DNAマーカー選抜育種は効率よく優良個体を選抜する手法であり、これを行う上で連鎖地図は必須の情報である。これまで、チャでは個別の品種について優性マーカーに基づく連鎖地図が作成されてきたが、チャの標準連鎖地図はなかった。そこで、多型性が高く汎用性の高い単純反復配列(SSR)マーカーを利用したチャの標準連鎖地図を作成する。
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成果の内容・特徴 |
- チャ標準連鎖地図は、ゲノム全体にわたり多型が検出されやすい交配組合せである、緑茶品種の「さやまかおり」と、中国導入遺伝資源の「金Ck17」の正逆交雑に由来するF1分離集団54系統のデータから作成されている。
- チャ標準連鎖地図は、基本染色体数と同じ15の連鎖群からなり、F1分離集団の親である「さやまかおり」および「金Ck17」の連鎖地図と、それらの連鎖地図に共通して座乗する共優性マーカーにより統合されたコアマップから構成される(図1)。
- コアマップに座乗するマーカーは、276個のSSR、2個のCAPS、1個のSTSであり、全長は1,218cMである。チャ標準連鎖地図全体では、441個のSSRマーカー、7個のCAPSマーカー、2個のSTSマーカー、678個のRAPDマーカーが座乗する(表1)。
- チャ標準連鎖地図には病害虫抵抗性遺伝子や、花香成分含有を制御する遺伝子、カフェイン合成酵素遺伝子など重要形質に関わる遺伝子がマッピングされている(図1)。
- 連鎖地図に座乗する発現遺伝子由来SSRマーカーは、種内において99%、Camellia属近縁種において80%の増幅率を示し、汎用性が高い。また、対立遺伝子数、ヘテロ接合度、PIC(多型含有情報値)で見ると多型性も高い。したがって、チャの遺伝学的解析や品種識別はもちろん、近縁種のチャ育種への利用やツバキ科植物の遺伝学、生態学研究等にも利用できる(表2)。
- チャ標準連鎖地図を利用することにより、重要形質に関わる遺伝子についてゲノム上の位置を効率よく同定することができる。また、多様性解析や品種識別技術の開発に必要な時間が大幅に短縮でき、解析コストを削減できる。
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成果の活用面・留意点 |
- 普及対象:チャおよびツバキ科植物の遺伝育種、品種識別等の研究を実施する試験研究機関、大学、企業等
- 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:機構内の茶育種部門において、選抜マーカーの開発、品種選抜に利用されている。その他、国内外の4カ所の公的研究機関、大学においても本技術の利用が期待される。
- その他:連鎖地図上のSSRマーカーは、すでに茶の品種識別、およびヤブツバキの生態学的研究で利用され、論文発表されている。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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研究内容 |
http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/vegetea/2012/142f0_01_21.html
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カテゴリ |
育種
遺伝資源
害虫
コスト
茶
DNAマーカー
抵抗性遺伝子
品種
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