飼料用米のデンプンの第一胃内分解特性は品種および加工法により異なる

タイトル 飼料用米のデンプンの第一胃内分解特性は品種および加工法により異なる
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所
研究期間 2008~2009
研究担当者 宮地 慎
野中和久
松山裕城
細田謙次
小林良次
発行年度 2009
要約 飼料用米のデンプンの第一胃内分解特性は品種により異なり、「モミロマン」は他の品種に比べ第一胃内有効分解率が高い。飼料用米の主成分であるデンプンを利用するためには、蒸気圧ぺん処理が有効な加工処理法である。
キーワード 飼料用米、ウシ、第一胃内分解特性、デンプン、品種、加工法
背景・ねらい 安定した畜産物生産を行うためには自給の穀実、特に水田を有効活用した飼料用米の活用が期待される。近年、飼料イネの活用に伴い多くの飼料イネ品種が開発されており、穀実多収型の品種(飼料用米品種)も育成されている。しかし、このような飼料用米品種の穀実における第一胃内分解特性など、牛に対する飼料の特性は明らかでない。また穀実の利用性は加工法により変化するが、飼料用米のこれらに関する知見は乏しい。そこで、飼料用米の牛に対する飼料特性を明確にすることを目的とし、品種(9品種)および加工法(7処理)の異なる飼料用米の第一胃内分解特性について明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 完熟した各種穀実を2mm粉砕してデンプンの第一胃内有効分解率1)を比較すると、75.7から90.4%の範囲内であり、「モミロマン」が最も高い。また、もみ米のデンプンの有効分解率はエンバクおよびコムギのそれより低く、トウモロコシより高い(図1)。
  2. 穀実デンプンの分解特性はアミロース含量に影響を受けるとされているが、粳品種のもみ米のアミロース含量と第一胃内分解パラメータならびに分解率との間に明確な負の相関関係は認められない(図2)。
  3. デンプンの第一胃内有効分解率1)を加工法間で比較すると、蒸気圧ぺん処理2)が最も高く、次いで2mm粉砕処理3)、挽き割り処理4)、破砕処理5)、発芽処理6)の順であり、飼料用米の主成分であるデンプンを利用するためには、蒸気圧ぺん処理が有効な加工処理法である(表1)。
注)
1)第一胃内通過速度定数(/h)を0.05とし算出
2)クッカー内で80~90℃で約10分間蒸煮した後、ローラーを通し0.85~1.30mmのフレーク状とする
3)2mmメッシュを通過するように粉砕
4)5mmメッシュを通過するように粉砕
5)飼料米破砕装置(DHC-2000、デリカ)で破砕(ローラー間クリアランス設定値は0.5mm)
6)加水したもみ米を15℃で3日間、その後28℃で2日間、32℃で1日間培養し発芽させる
成果の活用面・留意点
  1. 乳牛、肉牛へ飼料用米を給与する際の品種・加工法の選定の参考になる。
  2. in situ 法で検討しているため、咀嚼や第一胃内での攪拌等による飼料用米の微細化は考慮していない。
図表1 233870-1.jpg
図表2 233870-2.jpg
図表3 233870-3.jpg
カテゴリ 加工 飼料用米 水田 とうもろこし 肉牛 乳牛 品種

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