小規模移動放牧の指導普及向けマニュアル「よくわかる移動放牧Q&A」

タイトル 小規模移動放牧の指導普及向けマニュアル「よくわかる移動放牧Q&A」
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 近畿中国四国農業研究センター
研究期間 2006~2009
研究担当者 山本直幸
高橋佳孝
堤道生
安藤哲
小迫孝実
深澤充
惠本茂樹
島田芳子
川崎友子
伊藤直弥
引田久美子
秋友一郎
菅原健介
岡村由香
須田渉
吉村知子
沖山恒明
佐原重行
吉岡秀美
新出昭吾
岸本一郎
長尾かおり
熊谷周一郎
浅田正嗣
渡邉貴之
発行年度 2009
要約 繁殖和牛の小規模移動放牧における栄養管理、脱柵や水質汚染に関する問題を、科学的知見から解明、評価した結果を指導普及向けに取りまとめたマニュアルであり、放牧地周辺住民の理解を得て小規模移動放牧の導入促進を図るために活用できる。
キーワード 小規模移動放牧、繁殖和牛、栄養管理、家畜行動、水質環境
背景・ねらい 中国地域を中心とする西日本では、点在する比較的小規模の未利用農地や耕作放棄地を電気牧柵で囲って牛を放牧し、草が無くなれば転牧する小規模移動放牧が着実に広まってきている。しかしながら、植生・地目に適した放牧飼養方法、糞尿の排せつによる周辺水質への影響、牛の脱柵の危険性については、科学的な知見が不十分であり、これまでの経験則を背景に小規模移動放牧の拡大が図られている。 そこで、繁殖和牛の小規模移動放牧における栄養管理技術、排せつ糞尿の周辺環境への影響、家畜管理条件の解明を図り、経済的側面からの評価も取り入れて、環境に配慮した小規模移動放牧技術のマニュアルを作成する。
成果の内容・特徴
  1. 本マニュアルは、小規模移動放牧に取り組む際に直面する栄養管理、脱柵、水質汚染への問題に対して、科学的にアプローチした研究成果を主体に既往の知見も織り交ぜた43件のQ&Aならびにポイント、コラム、補足資料等から構成される(写真1)。
  2. 小規模移動放牧に新たに取り組む地域における合意形成の仕方、飼料費節減効果と放牧にかかる経費目安、畜産以外のメリットが判断できる。
  3. 耕作放棄地の野草の動態調査や放牧牛の発育調査から明らかにした牧養力(表1)、養分量を参照することにより、栄養不足を回避し脱柵を誘発しない栄養管理が可能になる。
  4. 放牧牛の行動調査から明らかにした脱柵防止指標(図1)と暑熱期のひ陰効果を参照することにより、脱柵がなく、暑熱期の損耗を防ぐ家畜管理が可能になる。
  5. 小規模移動放牧地周辺の水質調査から明らかにした放牧管理法と水質の実態(図2)を参照することにより、周辺住民の不安・懸念を払拭する飼養管理が可能になる。
成果の活用面・留意点
  1. 小規模移動放牧に新たに取り組む地域において、指導・普及にあたる府県行政普及部局関係者が活用できる。また、既に取り組みを行っている地域においても、既存技術の点検および見直しを行う上で有用である。さらには、放牧に意欲的な生産者にも有用である。
  2. 本マニュアルは、近畿中国四国農業研究センター大田研究拠点で冊子版を配布するとともに、Web上(http://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/publication/pamphlet/tech-pamph/011196.html) でpdf版を配布している。
  3. 本マニュアルをもとに小規模移動放牧の取り組みを行った結果、問題点がでてきたり不明な点がある場合には、マニュアルに記載の関係機関に問い合わせを行うことが望ましい。
図表1 233917-1.png
図表2 233917-2.png
図表3 233917-3.png
図表4 233917-4.png
カテゴリ 管理技術 飼育技術 繁殖性改善 放牧技術

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