糸黒穂病害を回避可能な高消化性晩生ソルガム新品種「九州交3号」

タイトル 糸黒穂病害を回避可能な高消化性晩生ソルガム新品種「九州交3号」
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター
研究期間 2005~2009
研究担当者 高井智之
我有 満
山下 浩
桂 真昭
松岡秀道
後藤和美
発行年度 2009
要約 ソルガム新品種「九州交3号」は、高消化性遺伝子bmr-18を持つ晩生のスーダン型ソルガム品種で、出穂前の収穫でも乾物収量、推定TDN含量が高く、出穂前に収穫することで穂に発生する主要病害糸黒穂を回避できる。
キーワード ソルガム、糸黒穂病、高消化性、晩生
背景・ねらい 2004年に大分県のソルガム栽培農家において、ソルガム糸黒穂病が国内で初めて確認された。本病は、穂に発生し、胞子の飛散によって蔓延の恐れがあることから、病気の拡大防止を目的として出穂前に収穫できる品種の開発が要望された。これに対応するために、年2回刈り収穫ができ、出穂前の収穫でも乾物収量、TDN含量が高いスーダン型ソルガム品種を育成する。
成果の内容・特徴
  1. 「九州交3号」は子実型ソルガムの細胞質雄性不稔系統「JNK-MS-6A」を種子親とし、スーダングラス自殖系統「JK2」を花粉親として育成とする単交雑一代雑種である(写真1)。
  2. 1番草の出穂期は、4月28日播種で「SSR4」より10日遅く、5月14日播種で「SSR4」より1ヶ月遅く(表1)、2番草の出穂期も「SSR4」より10日遅い(表2)。そのために、従来の品種に比べて出穂が遅く、出穂前の収穫で胞子による病害の蔓延を回避することができる。
  3. 大分県での年間乾物収量は、「SSR4」並である(表2)。九州沖縄農研(育成地)の年間乾物収量は、「SSR4」を含む市販の高消化性品種より高い(表2、表3)。
  4. 高消化性遺伝子bmr-18を有している(表3)。リグニン含量は、いずれの播種期においても「SSR4」よりやや低い(表2)。1番草の推定TDN含量は、市販の高消化性品種と同程度である(表3)。
  5. 草丈は「SSR4」よりやや高く、稈径「SSR4」はやや太く、茎数は「SSR4」並である(表2)。
  6. 紫斑点病抵抗性は「SSR4」より劣る「弱」である。すす紋病抵抗性は「SSR4」と同じ「やや強」である(表1)。
  7. 耐倒伏性は、「SSR4」並かやや劣る(表2)。
  8. 無加温ビニールハウスに2月下旬播種で栽培した場合、種子親は花粉親より2週間程度早く出穂する。雌雄畦比4:1での採種量は15.5kg/a程度である。(表1)。
成果の活用面・留意点
  1. 本系統は糸黒穂病の回避と同様に、ソルガム出穂に伴う蔓延の可能性のある麦角病などについても有効である。
  2. 耐倒伏性にやや劣るので、密植は避ける。
  3. 紫斑点病抵抗性を有しないので、発生地帯での栽培は避ける。
  4. 晩播で出穂が遅延するが、晩播による乾物収量の低下が小さい。
図表1 233921-1.png
図表2 233921-2.png
図表3 233921-3.png
図表4 233921-4.png
カテゴリ 新品種 ソルガム 抵抗性 播種 品種

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