タイトル |
有機質肥料の連用は草地土壌の透水性を改善し冠水被害を軽減する |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター |
研究期間 |
2002~2006 |
研究担当者 |
山田明央
平野 清
小路 敦
中村好徳
林 義朗
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発行年度 |
2009 |
要約 |
有機質肥料を連用するギニアグラス集約放牧草地は土壌の透水性に優れ、大雨により冠水しても化学肥料を連用する草地と比較して、被度と草高が高く、減収幅も少ない。
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キーワード |
ギニアグラス、放牧、飽和透水係数、冠水害、気象災害、草地、堆肥連用
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背景・ねらい |
2006年6月下旬から7月の大雨等により、九州全域で 総額221億円の農業被害を受けた。このような大雨等の気象災害条件下でも安定した生産性を維持するための自給飼料生産・草地の管理利用技術が必要である。そこで、ギニアグラス集約放牧草地での大雨被害を軽減させる管理法として、有機質肥料の連用効果について検討する。
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成果の内容・特徴 |
- 根へのストレス回避で重要となる土壌の飽和透水係数 (水の抜けやすさ)は、有機質肥料を3年間夏季および冬季にそれぞれ約1t/10a連用した区において9.55×10-4cm/sで、有機質肥料連用区とほぼ同量の肥料成分を化学肥料で連用した区の1.62×10-5cm/sと比較し高くなる(図1)。
- 2006年6月20日から7月5日の降雨量は平年の2.2倍(日平均降雨量45.6mm) に達し、冠水状態のギニアグラス草地で集約放牧することになった(写真1)。
- 初回放牧直後のギニアグラス収量を100%とした場合、その12日後の相対収量は、平年では177.7%に増加するが、降雨量の多い2006年は枯死等により減少した。その際、有機質肥料(牛糞および鶏糞堆肥)を5年間夏季に約1t連用した区の相対収量は79.6%であり、5年間化学肥料を連用した区の48.3%と比較し高い傾向を示す(写真1、図2) 。
- 有機質肥料を5年間夏季に連用した区、および3年間夏季および冬季にそれぞれ約1t連用した区いずれも、同期間化学肥料を連用した区と比較し、草地の被度および草高は高い値を示す(図3) 。
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成果の活用面・留意点 |
- 有機農業等の有機質肥料施用体系が、大雨後の湿害軽減という副次効果を示す基礎的知見となる。
- 多腐植質厚層黒 ボク土で得られた結果であり、他の土壌型では検討が必要である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
有機農業
有機栽培
土づくり
肥料
湿害
鶏
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