資源の地産地消に資するメタン発酵システムの実証

タイトル 資源の地産地消に資するメタン発酵システムの実証
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究所
研究期間 2007~2009
研究担当者 柚山義人
中村真人
山岡 賢
阿部邦夫
相原秀基
発行年度 2009
要約 メタン発酵システムは、原料の収集・運搬、メタン発酵、メタン精製、消化液の近隣での利用などに係る運営組織、技術向上、制度への適合を一体的につなぐことにより、資源の地産地消に資する。
キーワード メタン発酵、液肥、メタン精製、車両燃料、地産地消、地域実証
背景・ねらい メタン発酵消化液を液肥として農地利用するとともに、バイオガスを精製した後に車両燃料等として使うメタン発酵システムを地域実証する。変換部分は、千葉県香取市に山田バイオマスプラントとして設計・試作し、長期に連続運転する中で課題を克服する。
成果の内容・特徴
  1. メタン発酵システムは、運営組織、収集・運搬・変換・生成物の近隣地域で利用の技術、制度への適合がつながって成立する。保守などの日常の管理が、産学官協働による問題克服や現場の創意工夫によるノウハウの蓄積を踏まえて行われることにより、資源の地産地消に資するシステム運用ができる。
  2. ここで用いたハードウエアは、原料受入・固液分離装置、メタン発酵槽、PSA(Pressure Swing Adsorption)によるメタン精製装置、メタン充填設備などで構成するメタン発酵プラントに、輸送用車両、液肥散布機、堆肥化施設などを加えたシステムである(図1)。メタン発酵は37℃の中温発酵で、滞留時間は約30日である。2005年7月以来、4年半以上連続運転している。
  3. 投入する原料は、乳牛ふん尿、牛ふん脱離液、野菜汁がそれぞれ2.45t/d、1.78t/d、0.67t/dの合計4.90t/dである。原料は固液分離し、固分(夾雑物)0.66t/dは堆肥化施設へ送り、残りの4.24t/dをメタン発酵槽に投入しバイオガス83.8Nm3/d(メタン 48.7Nm3/d)と消化液4.14t/dを生成する。発酵槽に投入する原料に含まれる炭素(C)の約30%をメタンガスとして回収する。原料に含まれる肥料成分の窒素(N)、リン(P)、カリウム(K)は、夾雑物として取り除くもの、アンモニアとして揮散するもの以外は、ほぼ全量が消化液に移行する(表1)。
  4. メタン精製過程で、バイオガス1Nm3から濃度98%以上の製品メタンガス0.56Nm3ができる。メタンの回収率は、90%以上である(表1)。
  5. 消化液の成分は、含水率96%、pH 7.7、TOC6200mg/L、T-N3400mg/L(NH4-N 1700mg/L)、T-P 540mg/L、T-K 3200mg/Lであり、即効性のNK肥料であると判断できる。消化液は、液肥として、土壌診断に基づく施肥設計により2~4t/10aの施用量で、近隣の農地で全て利用する(図2)。
  6. 精製メタンガスは、タンク容量の25倍の貯蔵が可能な吸着式メタン貯蔵装置に貯蔵し、必要なタイミングでコジェネレーション、炭化装置、原料バイオマス及び消化液の輸送用車両の燃料として利用する。ボンベを利用することにより用途が広がる。軽トラック以外の車両は、活性炭によるメタン吸蔵により低圧(1MPa以下)運転できる(図1)。
成果の活用面・留意点
  1. 本成果は、バイオマスタウン構築に関わる行政施策担当者及び事業者が活用できる。
  2. 山田バイオマスプラントの設計諸元は農林水産バイオリサイクル研究「システム実用化千葉ユニット編」:アグリバイオマスタウン構築へのプロローグ,2007 (ISBN 978-4-9902838-4-1)を参照し、ノウハウ部分は研究担当者に問い合わせていただきたい。
図表1 233967-1.png
図表2 233967-2.png
図表3 233967-3.png
カテゴリ 肥料 施肥 土壌診断 乳牛 メタン発酵消化液 輸送

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