臨時労働力に着目した他出子弟等の農作業手伝いの動向

タイトル 臨時労働力に着目した他出子弟等の農作業手伝いの動向
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究所
研究期間 2008~2010
研究担当者 芦田敏文
遠藤和子
福与徳文
発行年度 2009
要約 現代の稲作技術においても、農家世帯員外からの臨時労働力が必要とされる。農業後継者以外の多様な人材に臨時労働力を求めることが重要視され、近年、農業後継者ではない他出子弟、親戚・知人等による農作業手伝いが増加している。
キーワード 他出子弟、手伝い、臨時労働力、稲作技術
背景・ねらい わが国において他出子弟の実家の農作業への従事は、その程度に差異こそあれ、全国各地で確認されるが、全体的な動向については明らかにされていない。そこで本研究では統計資料(米生産費調査、農業センサス)を用いて、現代の稲作技術における補助労働力の必要性とその対応としての農家世帯員以外の臨時労働力の活用動向、その臨時労働力の調達形態の動向、および農業後継者ではない他出子弟や親戚・知人による農作業手伝いの動向を数値的に把握する。
成果の内容・特徴
  1. 単位面積あたり稲作労働時間は、一貫して減少している。一方、農家世帯員以外の稲作従事を示す単位面積あたり雇用労働時間は、95年以降、微増に転じている。近年の雇用労働を主に構成する「田植」「稲刈脱穀」「育苗」は、現技術においても補助労働者を必要とする作業である。95年以降は、「耕起整地」「管理」「乾燥調整」作業の増加傾向も確認される。農家世帯員のみによる作業実施が困難な農家、ならびに作業範囲が拡大しつつある(表1)。
  2. 次に、稲作農家における雇用労働の調達形態をみると、「手間替え・ゆい」受入農家率は90年まで一貫して減少し、「農業臨時雇」受入農家率も05年まで減少・あるいは横ばい傾向にある。これに対し、「手伝い」受入農家率は80年以降、ほぼ増加傾向に推移し、00年から05年の間、(手間替え・ゆいを含む)「手伝い」等の受入農家率が大きく増加する(表2)。このような「農業臨時雇」から金銭支払いを伴わない「手伝い」等へのシフトは、小・中規模農家においてより強い傾向にある(表3)。
  3. 他出農業後継者の農業従事がある農家率を、「手間替え・ゆい・手伝い」のある農家率と比較するとポイント差が存在し、2000年から05年にかけて増加している。このポイント差は、農家側が農業後継者と認識していない農家外主体の農作業従事を示す。つまり、農業後継者ではない他出子弟、親戚・知人等による農作業手伝いが増加している(表2、表4、表5)。
  4. 農家の農業後継者不足が指摘されるなか、農業後継者ではない他出子弟、あるいは親戚・知人等の農作業手伝いが増加傾向にあることは、農業後継者以外の多様な人材が農業を支えていくことの重要性を示している。
成果の活用面・留意点
  1. 小・中規模農家における、他出子弟等、農業後継者以外の無償農業従事の増加傾向は、地域の農業・農地保全主体を対象とした研究の参考知見となる。
  2. 95年以降、「農業センサス」の項目の変更により、「手間替え・ゆい」と「手伝い」を分離して把握できない。90年までの「手間替え・ゆい」の大幅な減少傾向から、95年以降の「手間替え・ゆい・手伝い」の大半が「手伝い」で構成されるとみなして考察しているが、現状における「手間替え・ゆい」の動向について、留意が必要である。
図表1 234003-1.png
図表2 234003-2.png
カテゴリ 育苗 乾燥

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