稲わらからのエタノール生産のコスト、エネルギー収支、CO2排出量の評価

タイトル 稲わらからのエタノール生産のコスト、エネルギー収支、CO2排出量の評価
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 食品総合研究所
研究期間 2008~2009
研究担当者 椎名武夫
折笠貴寛
徳安 健
Poritosh ROY
井上貴至
小島浩司
中村宣貴
発行年度 2009
要約 稲わらからのバイオエタノール生産における、糖化方式、施設規模、エタノール変換効率、残さからの熱回収の有無などの各種要因とコスト、エネルギー収支およびCO2排出量との関係を俯瞰できる。
キーワード 稲わら、バイオエタノール、ライフサイクルアセスメント、濃硫酸加水分解法、酵素糖化法、コスト、エネルギー収支、CO2排出量
背景・ねらい バイオエタノール原料として最も期待される稲わらからのエタノール生産プロセスについて、俯瞰的な評価を実施するとともに、プロセス設計や重要な技術開発課題の抽出等に資するため、プラント規模(年間エタノール生産量:万kL/年)、エタノール変換効率(糖化収率と発酵効率の積、以下εと表記)、ボイラによる残さからの熱回収の有無などがコスト、エネルギー収支およびCO2排出量に及ぼす影響について、ライフサイクルアセスメント(LCA)手法を適用し、主としてシナリオに基づく解析を実施する。
成果の内容・特徴
  1. 稲わらは農業廃棄物としての取扱となるため、解析対象範囲は、籾の収穫で生じる藁の収集以降のプロセスとする(図1)。稲わら価格は、本プロジェクト研究における設定値である15,000円/t-dryとする。稲わら収集のためのロールベーラーの燃料、稲わら搬送のためのトラック(4t(圃場→工場・集積所)、10t(集積所→工場))の燃料(稲わらの平均腑存量、エタノール生産規模、εから収集すべき範囲を円で近似)、エタノール生産工程で使用される電力、燃料、蒸気、試薬、酵素などの量、施設費、人件費などから解析を実施する(詳細については発表論文を参照)。
  2. 濃硫酸加水分解法による稲わらからのエタノール生産(以下、NEDO法)において、εの違いがコストおよびCO2排出量に及ぼす影響は、プラント規模との関係で、図2、図3のように整理され、εの向上は、コストおよびCO2排出量の低減に非常に大きく貢献する。なお、ガソリン代替利用で、いずれの条件でもCO2排出量が削減される。
  3. NEDO法における熱回収の有無、稲わら収集のための中間集積所の有無が正味エネルギー比(エタノールのエネルギー/投入化石エネルギー)(Net Energy Ratio, NER)に及ぼす影響は、プラント規模との関係で図4に整理される。その結果、ボイラによる残さ(主としてリグニン)からの熱回収(熱効率を67%に設定)の有無は、NERに大きく影響するとともに、コストとCO2排出量にも大きく影響するため、残さの有効活用がプロセスの効率化に不可欠であるといえる。
  4. 酵素糖化法による稲わらからのエタノール生産のコストに関するトルネード分析を含む解析により、現状目標の総コスト(約175円/L)、将来目標の総コスト(約100円/L)におけるコスト分担は、図5の通り整理される。稲わらからのエタノール生産においては、原料費(稲わら)が全体コストに占める割合が大きく、圃場での収集の効率化等による稲わら価格の低減が不可欠であると考えられる。
成果の活用面・留意点
  1. 解析は、実在の施設を対象としたものではなく、シナリオに基づくものであり、実際のエタノール生産システムの解析結果とは異なる可能性がある。
  2. 本解析結果は、稲わらからのエタノール生産の全体像把握、プロセス設計の参考、技術開発課題の選定と優先度設定、等への活用が望ましい。
図表1 234009-1.png
図表2 234009-2.png
図表3 234009-3.png
図表4 234009-4.png
図表5 234009-5.png
カテゴリ コスト

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