タイトル |
直播栽培法による道産水稲品種「ほしまる」のタンパク質含量の低減と品質特性 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 食品総合研究所 |
研究期間 |
2007~2009 |
研究担当者 |
鈴木啓太郎
大坪研一
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発行年度 |
2009 |
要約 |
北海道の水稲栽培地域において、乾田直播法および湛水直播法により生産した「ほしまる」は、移植栽培法よりタンパク質含量が低減しており、かつ良質である。
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キーワード |
乾田直播、湛水直播、水稲品質、タンパク質
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背景・ねらい |
北海道内の良質水稲の生産地域において、栽培における省力、高効率、低コスト化のために直播栽培の導入が検討されている。作業効率が高い乾田直播栽培法および湛水直播栽培法により生産した直播用水稲品種「ほしまる」のタンパク質含量、アミロース含量、主食利用における米飯の品質特性を解明することを目的とする。
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成果の内容・特徴 |
- 湛水直播法の栽培による「ほしまる」のタンパク質含量は、深川、中富良野および岩見沢地区において、移植法栽培におけるものに対して低い。他方、乾田直播法栽培によるタンパク質含量は、追肥を実施した一部の栽培区で含量が上昇するが、概して移植法栽培に比べて低い(表1)。
- 「ほしまる」の品質特性を乾田直播法、湛水直播法および移植法ごとの測定平均値を基にタンパク質含量、アミロース含量、米飯外観の評価値(炊飯食味値)、米飯の物性値である硬さ、粘り、米飯の表層老化度について、国内一般粳米の物理化学特性データベース*と比較・検証した(図1)。
- タンパク質含量は、国内平均値に対して移植法が有意に高く、次いで、乾田直播法、湛水直播法の順で、湛水直播法は国内平均値よりやや高い水準である。
- アミロース含量は、国内の一般粳米平均値よりも総じてやや高いが、栽培法による有意な含量の違いは見られない。
- 米飯外観の評価値である炊飯食味推定値は、湛水直播法、次いで乾田直播法において高く、移植法の一般道内産品種よりも高く、米飯の外観品質が良質に類する。
- 米飯の物性は、全国の平均値に対して、移植法では米飯の粘りが弱い。他方、湛水直播法では、米飯の硬さと粘りが全国の平均値と同等であり、乾田直播法では、硬さが同等で粘りがやや弱い。
- 米飯保蔵時の表層の硬くなりやすさ(冷ご飯へのなりやすさ)を推定する米飯の表層老化度は、道内産のやや低アミロース米である「おぼろづき」が低く、耐老化性が高いといえるが、「ほしまる」は低アミロース米に次いで低い。
*国内一般粳米の物理化学特性データベース (農林水産省委託プロ 加工業務プロにおいて構築中)
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成果の活用面・留意点 |
- 「ほしまる」は米飯外観品質および米飯の物性とも良質であり、さらに道内産一般粳米の中でも耐老化性が優れる品種である。用途は家庭用および業務用飯米が考えられる。
- 乾田直播法および湛水直播法栽培時の施肥管理法は、精米タンパク質含量の変動要因となる。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
加工
乾田直播
直播栽培
水稲
施肥
データベース
低コスト
品種
良食味
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