澱粉合成酵素の発現抑制によるカンショへの低温糊化澱粉特性の付与

タイトル 澱粉合成酵素の発現抑制によるカンショへの低温糊化澱粉特性の付与
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター
研究期間 2007~2009
研究担当者 高畑康浩
田中 勝
大谷基泰
片山健二
北原兼文
中谷内修
中山博貴
吉永 優
発行年度 2009
要約 Ⅱ型澱粉合成酵素の発現をRNA干渉法により抑制した形質転換カンショを作成することにより塊根の澱粉に低温糊化澱粉特性を付与できる。澱粉の糊化開始温度は原品種より10℃以上低下し、多くの形質転換体の塊根の澱粉歩留は原品種とほぼ同等である。
キーワード サツマイモ、澱粉合成酵素、低温糊化、組換え、カンショ
背景・ねらい 南九州畑作地帯の基幹作物であるカンショは、単位面積当たりのエネルギー生産量が多く、不良環境においても比較的高い澱粉生産能力を示すバイオマス資源作物であるが、バイオ燃料として利用するためには、生産コスト低減や多収系統の作出に加えて澱粉の糖化効率向上を目指した質的な改良も重要である。そこで、低温糊化澱粉特性をカンショ既存品種へ付与するための遺伝子組換え技術を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 低温糊化澱粉特性を付与するため、Ⅱ型澱粉合成酵素をRNA干渉法により発現抑制するためのベクターpBI-35S-SSiを構築(図1)し、品種「White Star」(WS)のエンブリオジェニックカルスにアグロバクテリウム感染法を用いてベクターを導入して再分化させることにより形質転換カンショ植物体を得ることができる。
  2. 閉鎖系温室でポット栽培して得た塊根の澱粉歩留はWSとほぼ同等であるが、糊化開始温度はいずれの系統でもWSに比べて10℃以上低下する。また、最高粘度およびブレークダウンも低下し、カンショの低温糊化澱粉の特徴を示す(表1)。
  3. 各形質転換カンショ植物体の地上部重、塊根重、乾物率(凍結乾燥による)ともWSと比べて著しく劣るものはない(表2)。
成果の活用面・留意点
  1. カンショに低温糊化澱粉特性を付与する遺伝子組換え技術として活用できる。
  2. 本技術で対象とした澱粉合成酵素は、他の作物において低温糊化澱粉特性に関与することが明らかとなっているII型澱粉合成酵素である。ベクターの詳細については、要望に応じて情報提供可能である。
  3. 本ベクターの導入により高澱粉品種「コナホマレ」においても低温糊化澱粉特性を付与できる。このことは、他の優良品種への適用に対する本技術の高い可能性を示している。
図表1 234162-1.png
図表2 234162-2.png
図表3 234162-3.png
カテゴリ かんしょ 乾燥 コスト 品種

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