ナギナタガヤのアレロパシーとそのアレロケミカルの同定

タイトル ナギナタガヤのアレロパシーとそのアレロケミカルの同定
担当機関 (独)農業環境技術研究所
研究期間
研究担当者 藤井義晴
平舘俊太郎
加茂綱嗣
加藤 尚
発行年度 2009
要約 ナギナタガヤは生物検定法で強いアレロパシー活性を示しました。そのアレロケミカル として、(-)-3-hydroxy-β-ionone と (+)-3-oxo-α-ionolを検出しました。
背景・ねらい ナギナタガヤ(Vulpia myuros C.C.Gmel) は戦後に導入された外来種で、西日本のミカン園を中心に、除草剤を用いない果樹園の草生管理法として取り入れられ、広く栽培されるようになっていますが、種子が多産で、農耕地や空地等で雑草化する恐れがあります。そこで、この植物のアレロパシー活性を検定し、作用しているアレロケミカルを分析しました。
成果の内容・特徴 ナギナタガヤは、根から滲出する物質によるアレロパシーを検定する「プラントボックス法」(農業環境研究成果情報第8集)で、検定植物(レタス)の根の伸長阻害率が65~84%(平均阻害率74%)となり、ヘアリーベッチに匹敵する強い阻害活性を示しました。また葉から溶脱する物質の活性を「サンドイッチ法」(同14集)で検定した結果、阻害率53~82%(平均阻害率63%)と、やや強い阻害活性が認められました。
ナギナタガヤに含まれるアレロケミカルを、生物検定を指標にしながら分離した結果、(-)-3-ヒドロキシ-β-イオノン( (-)-3-hydroxy-β-ionone)と(+)-3-オキソ-α-イオノール((+)-3-oxo-α-ionol)が単離されました(図1)。これらの物質は矮性インゲンに含まれる植物生育阻害物質として報告されています。
これら両物質のレタス、オランダガラシ、ムラサキウマゴヤシに対する50%生育阻害濃度(EC50)は3~10µM、イネ科のオオアワガエリ、メヒシバ、ネズミムギに対するEC50は15~30µMであり、天然物としては強い生育阻害活性を持っています(図2)。またナギナタガヤが生育する土壌の溶液から、これらの物質が18~34µMの濃度で検出されたことから、土壌中で他の植物に影響を及ぼしていると推定されます。
ナギナタガヤは雑草防除に有効であることが既に現地果樹園でも認められていますが、その雑草抑制効果の一部はこれらの物質の関与で説明できる可能性があります。しかし、種子が容易に再生産され、この植物自身が雑草化しやすいので、周辺生態系へのアレロパシーによる負の影響にも注意する必要があります。
図表1 234207-1.png
図表2 234207-2.png
カテゴリ 病害虫 あわ 栽培技術 雑草 除草剤 生物検定法 レタス

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