フラワーアレンジメントを利用した脳機能訓練プログラム

タイトル フラワーアレンジメントを利用した脳機能訓練プログラム
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 花き研究所
研究期間 2007~2010
研究担当者 望月寛子
山川百合子
望月 聡
新井雅信
発行年度 2010
要約 決められた手順でフラワーアレンジメントを繰り返し製作する本プログラムの実施は、脳機能障害者の視覚性ワーキングメモリや視空間認知能力の維持・改善に有効である。
キーワード フラワーアレンジメント、脳機能障害、認知機能、回復、統合失調症
背景・ねらい 空間的なバランスに気を配りながら順序よく花材を配置するフラワーアレンジメントは統合失調症患者などに認められる脳機能障害の維持・改善に寄与する可能性がある。そこで脳機能の訓練を目的としたフラワーアレンジメント法(Structured Floral Arrangement Program:SFAプログラム)を開発し、その効果を検証した。
成果の内容・特徴
  1. SFAプログラムでは吸水スポンジに付けられた●や▲の印に指定された花材を挿していく。パズルを組み立てるような要領でフラワーアレンジメントを作製するプログラムである(図1)。
  2. 前頭葉機能不全が生じる統合失調症患者10名(平均年齢32.4歳)を対象にSFAプログラムを実施したところ、非実施群(10名、平均年齢36.0歳)に比べて視覚性ワーキングメモリが向上し(図2左)、視空間認知能力は高いレベルで維持された(図2右)。視覚性ワーキングメモリとは一時的に脳内に保存した視覚情報から必要な情報を選択し、利用する高次な記憶能力を指す。空間認知とは物体の形や位置関係、方向などを早く正確に把握する能力である。
  3. SFAプログラムの導入によって引きこもりがちな統合失調症患者の訓練参加率が30~40%から62.5%に上昇し、訓練意欲を高めた。
成果の活用面・留意点
  1. SFAプログラムは経験や障害の有無を問わず実施できるフラワーアレンジメント法で、技術移転が容易である。
  2. SFAプログラムにより統合失調症患者の視覚性ワーキングメモリ、視空間認知能力が維持・改善されるので、脳機能訓練に利用可能である。
  3. 統合失調症以外の脳疾患(アルツハイマー病、脳卒中など)患者に対するSFAプログラムの有効性について検証が必要である。
  4. SFAプログラムの効果について、アレンジメントを行う作業による効果と、生花を用いる材料の効果を個別に検証する必要がある。
図表1 234460-1.png
図表2 234460-2.png
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