タイトル |
ダイアンサス属野生種の香気成分の評価 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 花き研究所 |
研究期間 |
2010~2010 |
研究担当者 |
岸本久太郎
中山真義
八木雅史
小野崎隆
大久保直美
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発行年度 |
2010 |
要約 |
ダイアンサス属野生種の香気成分は、芳香族化合物、テルペノイド、脂肪酸誘導体を主成分とするグループに大別される。主要な芳香族化合物は花弁の展開部、主要なテルペノイドは花弁の基部に多く存在する。
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キーワード |
カーネーション、芳香性、ダイアンサス、芳香族化合物、テルペノイド、脂肪酸誘導体
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背景・ねらい |
現代のカーネーション品種は、芳香性のあるものが少ない。ダイアンサス属は種間交雑が容易なものが多く、特徴的な芳香を有するダイアンサス属野生種は、カーネーションの芳香性を向上させるための交配相手として期待される。ダイアンサス属野生種の香気成分の化学的な特性を明らかにし、芳香性育種素材としての評価を行う。
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成果の内容・特徴 |
- ダイアンサス属野生種の芳香は、嗅覚的に“湿布薬のような香り”、“柑橘系の香り”、“青臭みを伴う香り”の3つのグループに大別される。
- ダイアンサス属野生種の主要な香気成分は、18種類で、これらの化合物は、芳香族化合物、テルペノイドあるいは脂肪酸誘導体のいずれかに属する。
- “湿布薬のような香り”のグループの主要な香気成分は、芳香族化合物のサリチル酸メチル、イソオイゲノールおよび安息香酸メチル、“柑橘系の香り”のグループの主要な香気成分はテルペノイドのβ-オシメンとβ-カリオフィレン、“青臭みを伴う香り”のグループの主要な香気成分は、脂肪酸誘導体の(Z)-3-ヘキセニルアセテートである(図1)。
- Dianthus hungaricusやD. pyrenaicusは、芳香族化合物系の香気成分を多く発散する種類で、D. superbus(エゾカワラナデシコ)は、テルペノイド系の香気成分を多く発散する種類である(図1)。
- ダイアンサス属野生種の香気成分は、化合物によって花器官内における分布が異なり、サリチル酸メチルやイソオイゲノールは花弁の展開部、β-カリオフィレンは花弁の基部や雄蕊・雌蕊・花托に多く存在する(図2)。
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成果の活用面・留意点 |
- D. hungaricusやD. pyrenaicusは、カーネーションの芳香族化合物系の芳香を向上させるための育種素材として期待される。
- エゾカワラナデシコは、カーネーションにテルペノイド系の芳香を導入するための育種素材として期待される。
- 脂肪酸誘導体を主要な香気成分とするグループは、青臭みがあるため、芳香性の導入には適していないといえる。
- 器官や部位により香気成分含量に違いがあることに留意する必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
育種
カーネーション
なでしこ
品種
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