タイトル |
茶品種「ふうしゅん」は減肥栽培でも慣行施肥栽培の「やぶきた」より収量が多い |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 野菜茶業研究所 |
研究期間 |
2006~2010 |
研究担当者 |
佐波哲次
松永明子
野中邦彦
廣野祐平
阿南豊正
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発行年度 |
2010 |
要約 |
「ふうしゅん」は慣行の3割程度減肥した栽培でも、慣行施肥栽培の「やぶきた」より収量が多い。減肥栽培の「ふうしゅん」を適期前の出開度60%で摘採すると、荒茶品質は慣行施肥栽培の「やぶきた」を適期で摘採したときとほぼ同じである。
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キーワード |
チャ、減肥栽培、ふうしゅん、品質、収量
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背景・ねらい |
茶園では、多量の窒素肥料が施され、周辺環境への影響が懸念されており、施肥量を減らす栽培体系の確立が急務である。 そこで、現在効率的施肥技術と考えられている、被覆尿素を利用した施肥体系および点滴施肥を利用した施肥体系と、少肥適応性があると考えられる「ふうしゅん」を組み合わせることにより、慣行施肥栽培の「やぶきた」と同程度の収量・品質の荒茶が得られるか検討し、施肥量を減らす栽培体系の確立に資する。
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成果の内容・特徴 |
- 減肥栽培(3割程度減肥)では、一・二番茶ともに「ふうしゅん」の収量が、「やぶきた」より多い。「ふうしゅん」の方が面積あたりの新芽数が多いことによる(表1)。
- 減肥栽培では、一番茶・二番茶ともに「やぶきた」の方が荒茶品質(官能審査)は良いが、「ふうしゅん」との差は小さい(表1)。
- 減肥栽培の「ふうしゅん」は慣行施肥栽培の「やぶきた」より収量が多い(図1)。
- 減肥栽培の「ふうしゅん」を適期前の出開度60%程度で摘採すると、慣行施肥栽培の適期に摘採した「やぶきた」と同程度の品質の荒茶が得られ、収量も多い(表2)。
- 減肥栽培の「ふうしゅん」を適期の出開き度70%程度で摘採すると、適期前に摘採した時よりさらに収量は多くなるが、慣行施肥栽培の適期に摘採した「やぶきた」より荒茶の品質はやや劣る(表2)。
- 「ふうしゅん」では、慣行の肥料資材を用いて減肥するより、被覆尿素や点滴液肥を用いて窒素肥料を減肥する方が収量は多いが(図1)、外観品質(形状・色沢)の評点は低い(表3)。
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成果の活用面・留意点 |
- 「ふうしゅん」を用いた減肥栽培(窒素施肥35kg/10a)では慣行栽培(窒素施肥54kg/10a)の「やぶきた」に比べて、施肥コストの低減、環境保全、収量性を重視する栽培が可能となる。
- 各品種各処理区ともに10m以上の長さのうねを設定し、試験を行った。「やぶきた」は3反復、「ふうしゅん」は2反復である。
- 慣行施肥栽培区は8回に分けて施肥した。慣行減肥区は慣行施肥栽培区と同種類の肥料を施肥した。被覆尿素減肥区の窒素は、春肥に30日タイプと100日タイプの被覆尿素と二番茶前に硫安で施肥した。点滴減肥区は3月から10月まで1日おきに窒素200ppm、リン酸100ppm、カリ160ppmの液肥を施用した。
- 2010年は凍霜害のため、「やぶきた」の収量は2007~2009年より低下したが、適期摘採した減肥栽培の「ふうしゅん」の収量には、大きな違いはなかった(図1)。品質も「やぶきた」は2010年には低下したが(データ省略)、「ふうしゅん」では大きな違いはなかった(表2、表3)。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
肥料
コスト
栽培体系
施肥
茶
品種
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