SAFE装置を用いた高真空蒸留による茶香気成分の分析方法

タイトル SAFE装置を用いた高真空蒸留による茶香気成分の分析方法
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 野菜茶業研究所
研究期間 2008~2010
研究担当者 水上裕造
山口優一
発行年度 2010
要約 ジクロロメタンを用いて温度45℃の還流により香気成分を抽出し、ガラスウール2gを詰めたSAFE装置を用いて温度30℃で高真空蒸留(10-3pa)すると、妨害成分の影響なく茶香気成分をGC分析できる。
キーワード 茶、香気成分、SAFE、高真空蒸留、GC分析
背景・ねらい Solvent-assisted flavor evaporation (SAFE)装置を用いた高真空蒸留は、沸点が高い香気成分を収率よく蒸留する方法として知られている。同法では、有機溶媒で香気成分を対象試料から抽出し、その香気抽出物をSAFE装置で蒸留する方法が多く採用されている。ただし、茶葉から得られる香気抽出物をSAFE装置で蒸留すると、蒸留物にはガスクロマトグラフィー(GC)分析で妨害となる成分が含まれてくる。そこで、茶葉からジクロロメタンを用いた還流により香気成分を抽出し、分留効果を高めるためガラスウールを詰めたSAFE装置で高真空蒸留(10-3pa)する分析方法を確立する。
成果の内容・特徴
  1. ジクロロメタンを用いて温度45℃の還流で得られる紅茶の香気抽出物をSAFE装置で蒸留する。この蒸留物を繰り返しGC分析すると、緑茶と紅茶の香気成分であるヘキセナール、リナロール、ゲラニオール、ジャスミンラクトンの内標準比の相対標準偏差(RSD)は50%以上であり(図1a)、蒸留物はGC分析上妨害となる成分を含んでいる。
  2. SAFE装置にガラスウール2gを詰めて紅茶香気抽出物を高真空蒸留する。この蒸留物を繰り返しGC分析すると、ヘキセナール、リナロール、ゲラニオール、ジャスミンラクトンの内標準比のRSDは3%以内となり、GC分析上の妨害となる成分は蒸留物に含まれていない(図1b)。
  3. 沸点250℃以上の香気成分において、SAFE装置を用いた高真空蒸留ではアミノアセトフェノンを除き、分留温度25℃から35℃において96%以上の回収率である(表1)。この温度範囲の中間をとって分留温度は30℃とする。
  4. 煎茶と紅茶を従来の減圧蒸留(0.4kpa)とガラスウール2gを詰めたSAFE装置で高真空蒸留(10-3pa)して得られた蒸留物をGC分析で比較すると、ヘキサジエナール、ノナジエナール、デカジエナール、マルトール、ソトロンについては減圧蒸留より高真空蒸留の方が約20倍以上高い内標準比である(表2)。
成果の活用面・留意点
  1. SAFE装置にガラスウールを詰める際、真空ポンプを併用するとよい。ただし、一度挿入したガラスウールは除去できない。詰めるガラスウールは2g程度がよいが、それより少量だと蒸留中に移動し、分留効果が得られなくなる。
  2. SAFE装置を洗浄する際、装置を逆さにしてメタノール、アセトン、ジクロロメタンを順次装置内に注入する。汚れが落ちない場合、超音波水槽内に入れ洗浄する。
図表1 234494-1.png
図表2 234494-2.png
図表3 234494-3.png
カテゴリ ぶどう

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